受け手と送り手

さる8月15日、コミケに行ってきた。
今回のコミケは、私にとっては重要な出来事だった。なぜなら、今回初めてサークル参加でコミケに参加したからである(と 言っても、大学のサークルとして行ったのであるが)。


コミケで売る側に立つ、と言う事はもとより、自分の作品(が、ちょびっと載ってる部誌)を実際に人を前にして売ると言う行 為は、私にとっては初めての経験だった。それ故に、今回私は新しい世界が見えたような気がする……視点が変わったが ゆえに。

サークルのスペースの机の向こう側に座り、同人誌やグッズを買い求める人々を見た。そして、受け手・買い手であれば見 えないであろう、様々なものを見る事ができた。
同人誌を買い求める人の行動、ある人は見向きもせずに通り過ぎ、ある人はちらっと眺めて通り過ぎ、ある人は少し足を止 める。
自ら進んで本を手にとる人もいれば、勧めてみてから本をとる人もいる。
中を見るとき、目次から見る人や、後ろからめくっていく人。1ページずつ丁寧に見る人もいれば、ぱらぱらと見る人もいる。
そして、それを置いて立ち去る人、買い求めてるくれる人がいる。
隣のサークルのお茶目な所業(絵を描いたり、呼び込みをしたり)を見る事もあれば、あのホールの無骨な天井を眺めたり もした。
人の流れがどのようになってるのか観察したり、歩いている人が持っている紙袋を羨ましく眺めたり。

そして、なにより、同人誌を買う人間よりも、売る人間のほうが楽しそうな表情をしていると言う事。

それは、売る側、送り手に立たなければ見えない事だった。


もちろん、私も少し時間をもらって、周囲を歩く大勢の同胞(ヲタク)に混じって会場内を歩いた。
大勢の人が描いたイラストを見て、自らの腕が未熟である事を痛感したりもした。高い技術に感嘆の吐息を漏らすこともあ れば、欲しい品物が売り切れていてため息をついたこともあった。

それは、受け手の行為だ。他の人間のしぐさなど気に留めないし、目にした本は買うか、買わないか、否、買うに値するか しないかでしか見ない。ましてや、天井を眺めて感心したりなど絶対にしない。


視線が変わった事。それは、私に色々な事を教えてくれた。

私は別に、質の高い作品だけを買い求め、そうでない物には見向きもしない姿勢を否定したりしない。できない、と言った ほうが正しい。私もまた、質の高い作品を求める人間だからだ……受け手としても送り手としても。

売り上げは、作品の出来をはかる一つの指針だ。たくさん売れたなら、それは気に入ってくれた人がたくさんいたと言う事 なのだ。


だが、それが全てなのか。本当に、売り上げだけがその人の才能を、作品を、計る物差しなのか。

違う。

たった一人の人間でも、本心から気に入ったと言ってくれれば、その作品にはかけがいの無い魅力があるのだ。私はそれ に気づかされた。


私は、受け手にいると同時に送り手の立場にもいる。サークル参加してきた事がその証拠だし、なによりこのHPそのもの が、私が送り手の側にいる証だ。
にも関わらず、私は気づいていなかった。忘れていた。

送り手となる人間は(少なくともその大半は)売り上げを求めてなどいない。黒字を出して、儲けようなどとは思っていない。
自分の作品を買わせたいのではない。買ってもらいたいのだ。
手にとって見て欲しい。中を見てもらって、その上で買ってもらえれば、それで十分なのだ。褒めてもらえたり、サインが欲し い等と言ってもらえれば、それで十分。売り上げなど関係ないのだ。

なぜなら、送り手は作品を発表したいから、情報の発信者となりたいがためにそこにいるのだから。


私達、フリーゲームを作り発表する人間は、なぜゲームを作るのか。
私達だけではない。漫画を描く者も、イラストを描く者も、小説を書く者も、なぜそんな事をするのか。

情報を発信したいからではないのか。自分の作品を送りたいからではないのか。作品を作る事、それ自体が楽しいからで はないのか。かつて、そして今でも、自分が受け手として、他の作品から感じる感動を、自らの手で作りたいからではないの か。


私達は、気づかないうちにそれを忘れているのではないか。
たくさんの人が見てくれる事。コンテストで受賞する事。それはそれで喜ばしい事だし、目標の一つだ。

だが、全てではない。


なぜ、自分が受け手のままいなかったのか。なぜ、作品を作りたいと思ったのか。

今一度、思い出してみよう。
なぜ、自分が受け手から送り手になろうと思ったのかを。

それこそが、私達送り手の存在意義となるはずなのだから。



……と、8作目のコラムをお送りします。コミケと言う事で、ヲタク的な内容を期待してた人、ごめんなさい(笑

今回は時間の兼ね合いも合って、あんまりヲタク的な活動はせずに終わりました。同人誌もほとんど買いませんでしたし…
ちなみに、私はCG屋なので、買う作品もCG集や一枚絵が中心です。
今回は、そこそこ気に入ったものもあったので満足してますが……2つほど、優先順位が高かったもの(よーするに欲しか った物)が買えなくてションボリしました。特に、今回のコミケで一番欲しかったネ○ネちゃんボイスクロック(5000円)を買 えなかったのは痛かったです。12時ちょっと前に行って既に完売なんて反則だ〜。
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