『システム重視? シナリオ重視?』


こういう紹介文を読んだことは無いだろうか?

「システム重視のRPG」「シナリオ重視の長編ファンタジー」
いったい何故にシステム重視、シナリオ重視といっているのか考えたことはあるだろうか? 今回はそれについて考えてみ たい。

まず、それを考える前にどういう意図でシステム、シナリオ重視と表記しているのか、これを明確にする必要があるだろう。 実際、私も以前「UPRISING」を発表する際にシステム重視と表記したことがある。その体験を踏まえた上で私はこの言葉が 額面どおりの意味を持っていると考えている。


つまり、「どちらかというとシステム(orシナリオ)に力を入れている」という意味で、このような表記をしていると考えられる。
だが、このような表記は正しいのか。ゲームを作るうえでシステムとシナリオは共に必要不可欠なものだ。どちらか片方重視 するのではなく、両方に均等に力を入れるのが本来ベストのはずだ。

どんなに優れたシステムでもやっているうちに必ず「飽き」が来る。その時になおゲームに魅力を付加するのはほかでもな いシナリオだ。お話の続きを見たいがために、そのゲームを最後まで遊ぶ。
その逆も然り。どのようなすばらしいシナリオを作ろうと、システムがお話にならないのではゲームとしては成り立たない。

本来、システムとシナリオは支えあう関係にあるはずだ。にもかかわらず、なぜシステム重視、シナリオ重視という話が出てく るのか。実は、ここにはゲーム制作の命題とも言えるものが隠れている。


ここでもう一度言葉を再定義しておく。
いわゆるシステムを戦闘やメニューだけにとどまらず、ストーリーの分岐や難易度まで含めたゲーム性とおき、それ以外の 純粋なお話の部分をストーリー性としたい。

アクションゲームや格闘ゲーム、シューティングゲームというのはストーリー性よりゲーム性が要求される。逆に、アドベンチ ャーやサウンドノベルはゲーム性よりストーリー性が要求される(勘違いしないでほしいが、要求されていないから軽視して 言い訳ではない)。そして、この両方が均等に要求されるのがほかでもないRPGやSLGである。

では、なぜシステム重視、シナリオ重視といったRPGが見受けられるのか。
それは、ゲーム性とストーリー性が互いに支えあう関係にあるのと同時に対立する関係にもあるからだ。


具体例を挙げてみよう。

典型的な例に「自由性」が存在する。どれぐらいまでストーリーにプレイヤーの関与を許すか、という度合いである。うたい 文句に「自由度の高いRPG」というものを上げている作品は数多い。
「自由性」というのはすなわちゲーム性である。ストーリーの流れにプレイヤーが関与できるためである。そして、これはスト ーリー性と対立する。
作り手の視点から見ると、理由は言わずもがなである。

要するに、大変なのだ。分岐を作れば作るほどそれだけストーリーを用意しなければいけないし、しばしばキャラクターが 仲間になるタイミングが変動するため、あとから仲間に加わるキャラが絡んでくるイベントを見せるタイミングが取りづらいと いうのもある。

逆に、ストーリー性がゲーム性に影響を与える場合というのは何か。これは、簡単だ。現代日本を舞台にした作品で、登場 人物が唐突に魔法を使うわけにはいかないのである。もちろん、使ってもかまわないが、その場合はストーリー性に手を加 える必要がある。魔法を使いたければ、使える理由付けがいるのだ。


このゲーム性とストーリー性の折り合いをつけること。これは、ゲーム制作において命題とも言えるものである。これを上手 にこなしているゲームは、実際存在するのか?

存在するのである。また、こういう話題に振るのも色々アレなのだが、実はいわゆる美少女ゲームというのは、このバランス が取れているのである。

このジャンルが、ゲーム業界の中で大きなものになっているのは、決してイラストや内容があからさまな男性向けだからとい うわけではない。このゲーム性とストーリー性のバランスがいいからこそこのジャンルは発展しているのである(もちろん全て が全てではないが)。

どういうことか。美少女ゲームというのは、ギャルゲー、エロゲーと呼ばれるとおり、基本的には女の子との擬似恋愛を楽し むというものだ。どこがゲーム性で、どこがストーリー性なのか。

ストーリー性は、言うまでもあるまい。美少女ゲームの多くがアドベンチャーであることからもわかる通り、このジャンルは「恋 愛」というテーマの下でストーリーを見せる事が基本となる。

では、ゲーム性とは? 先の例でも挙げたが、自由度があるのである。といっても、あくまで「擬似的な」自由度ではある が。

プレイヤーはえてして男性の主人公となってお話を一人称の視点で見ていく。そして、選択肢によって目当ての女の子を 選んでいき、最終的にその女の子のエンディングにたどり着くのを目的とする。大切なのは、どの女の子を攻略するか考え る時に、プレイヤーの趣味・嗜好が反映されることだ。「自分の好みに応じて選択した」と思わせることこそ、美少女ゲーム の持つ自由度なのである。
もっとも、これは美少女ゲームに関して言った場合であり、他のジャンルには他のジャンルのバランスのとり方というものが 存在する。ストーリーや個々のシステムの出来ももちろん重要だが、このバランスが取れている作品は良作として名を残す ことが多いようである。


いまゲームを作っている、もしくはこれから作ろうとしている方。お話を作りこんだり複雑なシステムを組むのも確かに面白い し必要なことだが、この辺のことも考えてみてはどうだろうか?

ま、そう言う私もこの辺のバランスはいまだに上手に取れないのだが(苦笑 



というわけで、コラムの第2回をお送りいたしました。結構早く掲載できて嬉しかったりします。
次回もゲーム絡みで行こうと思います。

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