ゲーム的会話術

どうもっ。最近イラ講でしか出番が無い神鏡もといハムでっす。いっつもいっつもカタ〜い雰囲気でやっちょりますこのコラ ム。今日は念願の制服リディアが描けたので、かる〜いノリで行ってみたいと思います。
今日のお題は、ずばりゲーム的会話術。ゲームな会話術じゃないです。ゲームにおけるキャラの会話術です。
どうにも書きあぐねていたこのコラム、打開の糸口を与えてくれたルーアさんにこの場を借りて謝辞をば。ありがとうございま した♪


ハム 「というわけで、今日はガンガンいろんなキャラに登場してもらいましょう! アップラのリディアさ〜ん!」

リディア 「はい! ここ、アップラでは皆が今か今かと出番を心待ちにしていま〜す」

ハム 「ノリがよくなったね、チミも」

リディア 「誰のせいよ。で、呼び出しといて何の用?」

ハム 「ちょっと待て、もう一人呼ぶ」

ライオス 「って、俺かよ!」

ハム 「心待ちにしてたんじゃないのか?」

ライオス 「あれはリディアが勝手に言ったんだよ! まったく、ラティアの世話を俺に任せておいて……ぶつぶつ……」

ハム 「お前もすっかり尻に敷かれた亭主が板についてきたな……って、世間話のために呼んだんじゃない! 二人ともこ れを読め!」

リディア 「どれどれ……?」

ライオス 「なんだ? これ」

ハム 「ボツになった幻のアップラ外伝『私立アップラ学園』のプロット」

ライオス 「そんなもの作ってたのか!」

ハム 「今日はそれを使って、お前達にロールプレイをしてもらう」

リディア 「それはいいけど……なんのコラムよ、これ」

ハム 「ゲームにおける会話の書き方だ。あわせて、キャラの呼称、呼び方だな。これについても論じてみる。俺がちゃんと した会話を書けないとお話にならないから、既存のキャラを使ってみた」

リディア 「ふぅ〜ん……」

ハム 「というわけで、早速始めてもらうんだが、その前に……」

ライオス 「な、なんだよ?」

ハム 「着替えてもらおう



リディア 「わぁ〜♪ こういう服、一回着てみたかったの♪」

ライオス 「よく似合ってるぜ、リディア」

リディア 「ふふ、ありがと。ライオスも似合ってるわよ」

ハム 「あ〜、これこれ。こんなとこでのろけないでくれ。ちなみにリディア。ブルマも用意してあるから後で着

グシャアアアアアアア

ハム 「ぶはああああああっ! フィ、フィリスに飽き足らずお前まで……!」

リディア 「うっさい! 天誅よ!」

閑話休題


ハム 「じゃあ、早速やってもらおう。シチュエーションはこんな感じだ」

リディアとライオスは『私立アップラ学園』に通う2年生。
二人は幼馴染で、今もクラスメート。恋人関係にはなっていないが、とても仲がいい。
朝の登校、今日も二人はいつもの時間に待ち合わせをしていた。

ハム 「ベタベタな学園物の設定だ」

ライオス 「…………」

ハム 「なんぞ、不満そうだな?」

ライオス 「別に……」

リディア 「早速始めよっか?」

ハム 「いや、待て。実は、シチュエーションを作るだけでは会話は作れないんだ」

ライオス 「どういうことだ?」

ハム 「今回、お前達はアップラで活躍したから、知ってる人には改めて言わなくていいんだが……」

リディア 「わかった。キャラクターの設定ね?」

ハム 「そうだ」

ライオス 「どうして、キャラの設定が必要なんだ?」

リディア 「だって、キャラの設定が無いと、どういう風に話したらいいか分からないじゃない?」

ハム 「うむ。リディア君は聡明で助かるなぁ、はっはっは……」

ライオス 「台詞取られてるぞ(汗」

ハム 「うっさい。そう、キャラ設定が無いと、そのキャラがどういう風にしゃべったらいいか分からないんだな。まぁ、百聞は 一見にしかずだ。簡単に設定を書いて、ロールプレイしてもらおうか」

リディア
容姿端麗、運動神経抜群。成績も悪くなく、明るく元気、誰とでも気軽に話せる気さくな性格。おかげで、男子の間ではか なり人気が有る。ときおり間の抜けたところも見せ、それがまた魅力の一つになっている。
ただ、時折ひどく暗い表情を見せる。発作的な自殺癖が有る。

ライオス
とりたてて特徴らしい特徴は無い普通の学生(ライオス「おいっ!」)。根がまっすぐで、正直者なため、よく損な役割を演じ ているが、逆に、その性格のおかげで、親しい友人も異性同性問わず多い。成績はあまり良くないが運動神経は抜群。
幼馴染のリディアは、憧れにも似た好意を持っている。

ハム 「と、ほとんど本編通りにしてみた」

リディア 「つーか、学園物で『発作的な自殺癖』はどーなのよ……?」

ハム 「気にするな。早速始めてくれ」

ライオス 「わわ、まだ心の準備が……!」


シーンスタート!

見慣れた朝の登校風景。俺はいつもの交差点でリディアが来るのを待っている。

リディア 「おはよう、ライオス!」

ライオス 「あ、あぁ。おはよう」

リディア 「ねぇ、聞いた? 今日フィリス先生の抜き打ちテストが有るんだって」

ライオス 「天気がいいから、今日は体育が楽しいだろうな!」

リディア 「き、今日は体育無いでしょ? それより、フィリス先生のテストだよ!」

ライオス 「そうだな。お、俺さ、ほら、運動ぐらいしか取り柄ないから……」

ハム 「この馬鹿ぁぁぁ!!

どがぁ!!

ライオス 「ぐはああああ!!」

ハム 「会話しろ! 会話を!! 一人でぶつぶつ言ってどうすんだよ!
     いいか、会話ってのは言葉のキャッチボールだ。ちゃんと相手の台詞を受け取って、それに対して次の台詞を出 すんだよ!」

ライオス 「す、すまん、つい緊張して……」

ハム 「まぁ、な。つい緊張して上手く会話できない時ってのはあるわな。台詞を書くときも同じ。『上手い文章を書こう』と緊 張して、変な文章を書くことは有る。そういう時は落ち着いて、一度文章を見直してみよう。
     とりあえず、ほれ、深呼吸」

ライオス 「すぅーーーー、はぁーーーーー」

ハム 「じゃあ、もう一回やるぞ」

シーンリテイク

見慣れた朝の登校風景。俺はいつもの交差点でリディアが来るのを待っている。

リディア 「おはよう、ライオス!」

ライオス 「あ、リディアちゃん、おはよう。今日は早いんだね」

リディア 「うん。ちょっと早めに起きて、勉強してたんだ」

ライオス 「へぇ〜、すごいね。どうしたの?」

リディア 「ライオス君、知らないの? 今日、フィリス先生の抜き打ちテストがあるんだよ?」

ライオス 「え! 本当に?! やばいなぁ、僕、全然勉強してないよ」

リディア 「うふふ、そういえば、授業中、いつも寝てるもんね」

ライオス 「そうなんだよ〜……あっ、そうだ。ちょっとでいいからノート見せてよ!」

リディア 「しょうがないなぁ、じゃあ、見せてあげる」

ライオス 「ありがとう、助かるよ。よし、じゃあ、急いで行こう!」


ハム 「はい、カットカット」

リディア 「うわ、冷めた言い方」

ライオス 「どっか変なところあったかな? ちゃんと会話できてると思うんだけど……」

ハム 「本当にそう思うか? ……まぁ、いい。じゃあ、一つずつ見直してみよう」

見慣れた朝の登校風景。俺はいつもの交差点でリディアが来るのを待っている。

リディア 「問題ないわよね」

ハム 「当たり前だ。俺が書いたんだから」

リディア 「……(汗」

リディア 「おはよう、ライオス!」

ライオス 「あ、リディアちゃん、おはよう。今日は早いんだね」

ハム 「ライオス」

ライオス 「な、なんだよ」

ハム 「馬鹿か、てめーは! なんだ、この会話は!

ライオス 「ど、どこが変なんだよ!」

ハム 「お前とリディアは幼馴染だぞ? それを『あ、リディアちゃん』とか言うかー? だいたい、てめー、普段『ちゃん』付 けで呼んでねーだろうが!!」

ライオス 「ぐっ」

ハム 「いいか、これが『呼称』だ。呼びかけるキャラの性格やお互いの関係(距離の近さ)に応じて、呼び方が変わる。これ は、キャラクターの性格・関係を伝える非常に重要な要素だ。呼び方一つとっても印象ががらりと変わるから、注意しろ。一 応、一通り挙げてみると」

リディア(呼び捨て)……非常に近い関係。ただし、発言者が明るい・元気・気さくなどポジティブな性格だと、ただの友達で も使う。
また、その逆に敵対関係に有る者に対しても使う。

リディアさん……普通程度の距離関係。友達等。
親しい間柄でも発言者がおとなしいキャラや女性の場合、これを用いることも多い。
呼び捨てでなければ、一番多用される呼び方(だと思う)。

リディアちゃん……基本的には女性に対する呼称。小さい子に対して使うことが多いが、発言者がおとなしいキャラの場 合、同世代にこれを使っても不自然にならないことも有る。ただ、目上、年上には使わない。

リディア君……基本的には男性に対する呼称。有る程度仲の良い男性に対して、女性が使うのが一般的。
でも、女性に対して使うこともある。ただし、同世代同士で女性を君呼びはほとんど無い。有るとしたら、発言者が目上、年 上の場合。中でも秀才肌のキャラが使うことが多いかも。先輩(部長とか生徒会長)が後輩の女の子を『君』付けで呼ぶ、と いうのはよく有る。

あだ名(リーちゃんとかリディアっち等)……親しい友人同士で使う。ただ、普通の友人間でも使うことは多い。内輪の呼び 方なので、内輪同士での会話でしか使わないのが普通。

その他の呼び方……特別なキャラ、特別な関係でないとほとんど使わない。

ハム 「以上。とりあえず思いつくままに列挙してみた。ま、必ずしもこの通りではないと思うが、一般的にはこんな感じだろ う」

ライオス 「う〜む、じゃあ、この場合は呼び捨てがいいかな」

ハム 「うん、それがいいだろう。後もう一つ。『今日は早いんだね』の部分」

リディア 「ちょっと丁寧すぎる気がするね」

ハム 「あぁ。こう変えるといい『今日は早いんだ』」

ライオス 「一文字変えただけで、ずいぶん雰囲気が変わるな」

ハム 「その通り。日本語は、多様な語尾が有る言語だ。上の呼称同様、キャラの性格・関係によって適切に使い分けよう」

リディア 「うん。ちょっと早めに起きて、勉強してたんだ」

ライオス 「へぇ〜、すごいね。どうしたの?」

ライオス 「とりあえず、すごいね、をすごいな、に変えるよな。いや、すげぇな、の方がいいかな……?」

リディア 「あと、どうしたの? をどうしたんだ? にした方がいいと思うな」

ハム 「うんうん、二人ともその調子だ。幼馴染と言う親しい関係を考えると、すごいね、と言う台詞は無くてもいいかな。そ れよりも、ちょっとからかったりした方が親しさが出るかもな。相手をからかうのって、意外と親しくないと出来ないのよ」

リディア 「ライオス君、知らないの? 今日、フィリス先生の抜き打ちテストがあるんだよ?」

ライオス 「え! 本当に?! やばいなぁ、僕、全然勉強してないよ」

ハム 「リディア」

リディア 「は、はい……」

ハム 「自分のおかしいところに気づいてるか?」

リディア 「えーっと、ライオスへの呼び方が……」

ハム 「そう! 一番初めに元気よく『ライオス』って呼んでたのに、『ライオス君』になってる。呼称は統一しよう。ただし!  発言者の性格が変わったり互いの関係が変わったら、呼称は変わる。むしろ、呼称の変化はキャラの変化として大いに活 用しよう」

ライオス 「基本的には、親しくなって『さん付け』から『呼び捨て』になる、とか、そういう使い方だよな」

ハム 「だな。まぁ、はじめ『君付け』、仲良くなってきて『呼び捨て』、でも途中で喧嘩して『君付け』に戻る、とかも面白いか もな」

リディア 「そうだね、ライオス君♪」

ライオス 「ぐは……」

ハム 「同じ事で、ライオス。お前も一人称がおかしい」

ライオス 「でも、俺は途中で変わってないぜ?」

ハム 「一番最初の説明文を読め。一人称が俺になってる」

ライオス 「うわ、ホントだ……」

ハム 「一人称も呼称だ。自分に対する呼び方だからな。あと、リディア」

リディア 「え? どこかおかしい?」

ハム 「事前に行われることがわかっている試験は『抜き打ちテスト』と言うのか?」

リディア 「あ……」

ハム 「細かい矛盾点なんかにも注意しよう

リディア 「うふふ、そういえば、授業中、いつも寝てるもんね」

ライオス 「そうなんだよ〜……あっ、そうだ。ちょっとでいいからノート見せてよ!」

ハム 「一見問題はなさそうだが……」

リディア 「なんか、ある?」

ハム 「とりあえず、お前の笑い方は気に入らんな。『うふふ』は比較的おとなしいキャラが使う。性格が明るくて、相手が幼 馴染となったら『あはは』ぐらいは使ってもいいんじゃないか?」

リディア 「う〜ん、たしかに」

ハム 「笑い方の表現は色々有るが、どんな風に笑うかはキャラの性格による。普段『あはは』と笑っているキャラと『うふふ』 と笑っているキャラでは、当然性格も違う。台詞と性格は密接につながっている。とても重要な点だ」

ライオス 「普段静かなキャラが、『あはは』って笑ったら、それだけで、そのキャラにとっては爆笑、って事になるよな」

ハム 「その通り。お前もたまには良い事を言うな」

ライオス 「たまにってどういう事だよ?」

リディア 「あははは!」


ハム 「あと、リディアの台詞も少し直したいな。なんだか、説明くさい

リディア 「説明くさい?」

ハム 「ライオスが、授業中いつも寝ている、という情報を頑張って提示しようとしている感じだな」

ライオス 「どうすればいいんだ?」

ハム 「『いっつも寝てばっかりだからよ』ぐらいでもいいんじゃないか?」

リディア 「『授業中』って入れなくても平気かな?」

ハム 「文脈から推測できるだろ。書かなくても想像できそうなことは、なるべく書かないほうが文がスマートになる。もっと も、あまりやりすぎると脈絡のない文章になるが……その辺は、見直してみて考えていくしかないな」

ライオス 「俺の台詞はどうだ?」

ハム 「……聞きたいか?」

ライオス 「うっ、微妙にイヤかも……」

ハム 「と言っても、細かく変えるところはあるが、気になったのは『あっ、そうだ』って部分だけかな」

リディア 「どういう風に変なの?」

ハム 「普段の会話で『あっ、そうだ』って使うか?」

ライオス 「う〜ん、あんまり使わないよな」

リディア 「よっぽど名案を思いついた時ぐらいかな」

ハム 「だろ? 普段の会話であまり使わない言葉は多用しない方がいい。あくまで普段の会話を想像しながら台詞を書い てみよう」

リディア 「しょうがないなぁ、じゃあ、見せてあげる」

ライオス 「ありがとう、助かるよ。よし、じゃあ、急いで行こう!」

ハム 「まずはリディア。『じゃあ』の部分」

リディア 「不自然じゃないんじゃない? 普段の会話で使いそうだけど……」

ハム 「いいや。接続詞はあまり会話で使わない。もちろん、使う場面も多いけどな。無くてもいい場所では、極力接続詞は 無いほうがいい。文がずっと会話っぽくなる」

ライオス 「そんなに気にすることなのか?」

ハム 「台詞って、文章じゃん? 文章で書くから、どうしても文語表現が出ちゃうのよ。でも、会話って口語表現だよな?  その違いを意識しないと、うまい文章は作れない」

リディア 「ふ〜ん、そんなもんかしらねぇ……」

ハム 「ここまでの俺達の会話(黒字の会話部分)で、使っている接続詞は17個程度だ。これぐらいでちょうど良いと俺は思 うぞ。ま、その辺は個人の好みも入るけどな」

ライオス 「俺の方も、だよなぁ……」

ハム 「いや、この場合は特に問題ないと思うぞ。ケースバイケースなんだって」

リディア 「『ありがとう』ってのは、『サンキュー』とか、少し砕けた言い方でもいいんじゃない?」

ライオス 「う〜む……」

ハム 「じゃあ、最後に、上の文章を手直ししたものを載せてみようか」

シーンリテイク2

見慣れた朝の登校風景。俺はいつもの交差点でリディアが来るのを待っている。

リディア 「おはよう、ライオス!」

ライオス 「おぅ! リディア。今日は早いんだ

リディア 「うん。ちょっと早めに起きて、勉強してたんだ」

ライオス 「へぇ〜、どうした? 変な物でも食ったのか?

リディア 「あ、あんたじゃないんだから! 今日、フィリス先生のテストあるでしょ

ライオス 「え! マジで?! 俺、全然勉強してねぇぞ

リディア 「あはは! いっつも寝てるからよ!

ライオス 「やべぇな……なぁ、ちょっとでいいからノート見せてくれよ!」

リディア 「う〜ん……しょうがないなぁ、今回だけだよ?

ライオス 「サンキュー、助かる。よし、じゃあ、さっさと行こう!」


リディア 「ふぅ〜む……」

ライオス 「はぁ〜……」

ハム 「まぁ、俺もへたくそだが……多少はましになったろ? 後は、これにグラフィックを付け加えていくんだ」

リディア 「難しいのね〜……」

ハム 「大切なのは、場面を想像しながら、自然な会話を心がけること。あと、話すキャラの性格や関係をしっかりと捉えて いくことだ。慣れれば、上手くなる」


ハム 「というわけで、今日は二人ともご苦労だったな」

リディア 「ううん、久しぶりの出番で楽しかったし」

ライオス 「たまには良いもんだよな」

ハム 「……本当は、峰雪先生とかルシア先生とか学園長とか……出したかったんだけど」

ライオス 「誰だよ、学園長って……」

ハム 「……ふっ」

リディア 「というわけで、今回のコラムを終わりま〜す。ありがとうございました♪」


’05年9月 神鏡学斗
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