オープニングの形態
ゲームのオープニング。これがきわめて重要なものであることは、誰でも知っているだろう。ここのコラムでも、『先入観』の
回で少し取り上げた。
重要である、と言っても、一体どのように作ればいいのか。今回は、オープニングをいくつかのグループに分けて、考察し
てみたい。
ちなみに、ネーミングは適当である(マテ。
1、語り系
壮大なお話に多いタイプ。オープニングと言えば、おそらくこれが一番思い浮かぶだろう。ナレーションによって、その世界
の情勢や過去の事件などについて語る。例は枚挙に暇が無いだろう。『昔々〜』や『かつて英雄によって魔王が封じられ
〜』、『その洞窟には伝説の宝が〜』といった類である。
重要な点として、これはあくまで(その世界の)事実を具体的に述べた物だという事がある。あくまで客観的に書かれたもの
であるという点が重要である。
やり方は大きく分けて二つある。一つは、背景の上に、文章をスクロールしてしまうもの。もしくは、メッセージの表示でどん
どん書いてしまうもの。
もうひとつは(ツクール2000でたまに見るが)、アニメーションやキャラグラで場面を再現(?)するもの。
どちらもスタンダードなやり方だけに、初心者には向いているかも。こだわれば、上級者でも十分すばらしい物が作れるは
ず。
2、主人公の過去系
作り慣れた人間は、語り系からこちらに来る場合が多いかも。壮大なナレーションではなく、主人公自身の過去から始める
ものである。
たとえば、『姉のように親しんでいた人が目の前で惨殺された(風と大地のページェント/ザウス)』、『引っ越す直前、プレ
ゼントを渡した(UPRISING完全版(ぇ)』など。
場面として設定する場合も多いが、主人公の夢や回想という形にする場合も多い(たとえばアークザラッドUなど)。
壮大な物語、というよりは、主人公を中心とした人間関係などを物語の軸にすえたい場合は、こちらにする事が多いと思
う。
抽象概念などはほとんど入らず、事実関係を述べる事になるので、導入として作りやすい。その上、伏線を張ったり、主人
公の動機付けを行ったりできるので、扱いやすい。
注意するべきなのは、あまりたくさんキャラクターを出しすぎないこと。出しすぎると、だいたい混乱する(アップラ完全版ぐら
いになると厳しい)。
ただし、お話のナレーションやバックグラウンドを説明するのは難しいため、1の語り系と組み合わせたり、他でフォローして
やる必要はある。
3、主観語り系
語り系に近いもの。形としてはナレーション形式(三人称視点のこともあれば、主人公の一人称視点のこともある)なのだ
が、1の語り系が事実などを述べた物であるのに対し、主観語り系では、しばしば主人公の主観的な考えや抽象的な内容
が入ってくる。
そういう意味では、2の主人公の過去系に近いと言えなくも無いのだが、事実関係よりも感情に重きを置いている、という点
で、上記二つとは一線を引く存在であると思うので、一つのジャンルとして独立させた。
ちなみに、実際にやっている作品はあまり多くない。
何故か、と言うと、非常に難しいからだ。ゲームを開始した直後、まだ作品に対する知識や認識がほとんど無い状態で、感
情や抽象概念を持ち出すのは実に難しい。それらは、作品内で一定の表現を行い、ある程度下地を作った上で初めて効
果を表すものだからだ。
作品テーマに概念的なもの……たとえば宗教や戦争の是非、正義、愛、その他哲学的な内容の物を、抽象的な形でいき
なり出すのは、やはり難しいのだ。
だが、上手くやれば、遊び手にテーマを意識させて遊ばせることができる(先入観を持たせられる)ので、腕に自信のある
人はやってみるのもありかもしれない。
4、現在進行系
今、まさに事件の真っ只中、という始まりである。これは、主人公が特別な職業(何でも屋等)に就いている場合が非常に多
い。『レジスタンスとして魔光炉に忍び込んだ(FF7)』と言ったように。
現在進行系は、さらにいくつかのパターンに分けられる。
@主人公が何がしかの事件に巻き込まれる。
最も典型的といえるかも。プレイヤーによる主人公の操作を認める場合もあるが、メニューが開けなかったり、強制戦闘が
あるだけだったり、ダンジョンが一本道だったりと、実際には自由操作は認められていない。
例は多いが、あえて古いもの挙げると『いきなり黒騎士と戦闘、そして敗北>反乱軍に助けられ、加勢する(FF2/スクウェ
ア)』、『祭りの夜、恋人がさらわれる>恋人を取り戻すために旅に出る(ジャストブリード/エニックス)』など。主人公が実際
に行動するため、主人公の動機付けを確実に行えるうえ、そのまま本編に持っていけるという利点がある。
A主人公以外のキャラクターが何がしかの行動を起こすもの。
『(ヒロインが)自由になりたいがために、聖なる山の封印の炎を消してしまった(アークザラッド)』など。しばしば、この後事
件が起こり、そこに主人公が絡んでくることで物語が始まることになる。主人公にちゃんとした動機を与えてやらないといけ
ないが、特定のキャラ(えてしてヒロイン)との出会いやその後の関係に繋げ易いため、恋愛をモチーフ(の一つ)にするな
ら使ってみるのも良いかもしれない。
B主人公以外を操作して行動するもの
Aと似ているが、ここでは物語の主人公以外のキャラ(過去の英雄など)や、過去の主人公を実際に操作して、何がしかの
事件を起こすもの。
上手く使っていたものに『ドラゴンクエスト6/エニックス』『クロノクロス/スクウェア』などが挙げられる。基本的に、そこで操
作するキャラクターは主人公と何がしかの関係にあるか、物語の中枢に深く関わっている。むしろ、このように操作させてお
いて、後では会話の中でしか出てこない、などと言う事になると、逆効果になりかねないかもしれない(そのような作品には
会ったことが無いが)。
5、いきなりスタート系
オープニングなし。いきなりお話が始まり、主人公を操作できるもの。ツクール200X系で目立つが、別に悪いことではな
い。
短編では、むしろだらだらとプロローグをやるより、さっさと物語の導入を行った方がよいかも。
高度な使い方として、『先入観を与えずに』プレイヤーに実際に行動を起こさせるという使い方もできる。その後の物語の導
入が強烈ならば、このやり方は非常に有効。『クロノトリガー/スクウェア』にしびれた人は多いはず。
6、オープニングムービー系
最近、大規模なゲームは皆やるようになってきた感がある。やることは、名前のとおりである。
作品のテーマや伏線を、巧妙にムービー中に挿入してやると作品への期待は否応なしに膨らむはず。
これをうまくやっている作品は、言わずもがな、『Air/Key』である。
などなど、挙げてみました。他にもこんなのはどうよ? と思う方がいたら、メールや掲示板で意見をしていただけると嬉し
いです。
オープニング、ここで挙げた形態に沿っても面白い面白くないはあるんで、最終的には作る人の腕なんですが、そういう事
を考えて作るのと考えないで作るのとは、やはり違いがあると思います。
神鏡学斗 ’05 5月
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