本文へスキップ

神鏡、水銀党、霧式の3人によるマルチ創作サイト

電話でのお問い合わせはTEL.

ゲーム制作講座lecture


キャラクターの作り方 〜その主人公、物語に必要ですか?〜
ステップ5:必要性からキャラクターを考える

「ここまでキャラクターの作り方について色々考えてきたが、少し特殊なキャラクターの作り方についても考察しておこう」
「というと?」
作品上必要だからキャラクターを作る、という方法だ。いくつかパターンがある」

・サブキャラクターを作る
 これは比較的多いでしょう。盗賊に襲われる村を作ったので、主人公に盗賊退治を依頼する村長が必要になる、というような場合です。こういう場合、そのエピソードでのみ関わる場合が多いので、それほど難しく考えなくても大丈夫でしょう。きちんと作っておくと、主人公を応援してくれるなど、その後も関わりが続くようにすることも可能です。

例)盗賊に襲われる村で、主人公に盗賊退治を依頼する人が必要
  ⇒村長を作る

・空いた役割のキャラクターを作る
 たとえば、パーティーを作ってみたが回復役がいないので一人作らないといけない、主人公一人では問題を解決できないので助けてくれる役割の人が必要、などです。これも比較的多いかもしれません。この場合、パーティーメンバーや主人公の友人など割と重要なポジションのキャラクターを作ることが多くなるでしょう。そのため、キャラクターを考える際には、ストーリーと連動させ、連想ゲームでキャラクターを作るほうが良いと思います。

例)ストーリー:魔剣を手にしてしまった少年が、魔剣を封じるために旅をする
⇒パーティーのメンバーが前衛系ばかりで、魔法使いが一人必要
  案A ⇒魔法学園に留学していた幼馴染が協力してくれる:攻撃魔法役
  案B ⇒魔剣と対になる聖剣を奉じる教団の巫女が協力してくれる(はじめは主人公を倒そうとするが、主人公が魔剣を封じようとしていると知って協力する):回復役

・ストーリーの盛り上げに必要
 長編ゲームではあると思いますが、小説などではあまり多くないかもしれません。たとえば、ことあるごとに主人公に戦闘を仕掛けてくるライバルキャラ、などでしょうか。その時々のエピソードとは無関係ですが、お話を盛り上げたり、中だるみを防ぐ目的で使われます。

例)ダンジョンの途中で、度々登場しては戦闘になるライバル冒険者パーティー


「こういったキャラクターは、必要に迫られて作ることになるから、役目が無くて浮いてしまったりすることはほとんど無い。逆に、浮いてしまう場合は本当に必要なキャラクターなのか、もう一度考え直す必要があるだろう」
「なるほどー……これ以外には、必要に迫られて作る場合っていうのは無いのかな?」
「もう一つ重要な使い方がある。先に数が決まっている場合だ」

・先に数が決まっている場合
 たとえば、『選ばれた7人の異能力者によるバトルロワイヤル』『10本の魔剣とその持ち主をめぐる戦い』のように、はじめに数が決まっている場合があります。昨今は、ゲームだけでなくマンガや小説でも多く見られます。オーソドックスな方法と言える一方で、注意しないと最後はネタ切れになって尻すぼみ……最悪、打ち切りのような終わり方をしてしまうことも少なくありません。

「このような先に数が決まっているものを作る場合、最も気をつけなければいけないのは『本当にその数を作りきれるのか?』ということだと思う」
「作りきれるか? アイデアが尽きないか、ってこと?」
「初心者の場合、それが大きい。とにかく、自分がどれぐらいのものを作れるかが把握できていないから、なんとなく10とか20なんて数を設定して挫折するケースが少なくないだろう」
「ハムちゃんは、どうかな?」
「10ぐらいになると難しいかな。まともに作れるのは、7つぐらいだと思う。世に出ている作品を見ても、7つ前後が多いんじゃないかな。有名な作家さんで、10個の異世界と交渉していく、というアイデアの作品があったが、これも『スタート時点で既に交渉済みの世界がある』『後半のいくつかの世界は一つの組織にまとまっている』、という形にして数を減らしてあった。それにもう一つ、世界観が設定した個数に耐えられるものか、という点も重要だ」
「どういうこと?」

 たとえば、『火・風・水・土の4精霊が支配する世界』という世界観で、『7つの精霊の武器をめぐる戦い』を設定したらどうでしょうか? この場合、4つまでは火・風・水・土をそのまま当てはめて作れますが、残りを考える時に困ってしまいます。

「世界観とその上に設定する個数が噛み合っていないんだな。何気なく作ると、やってしまいがちだ」
「こういう場合、どうすればいいのかな?」
「諦めて4つの武器にする、新しい要素、たとえば光と闇を加えて6つにする、4元素をそれぞれ光と闇に分けて8つにする、というように、数を変えるのが良い方法だと思う」
「ハムちゃんの作品で、参考に出来る物ってある?」
「『木精リトの魔王討伐記』の断罪武具編は、まさにこの『はじめに個数が決まっている』ストーリーをやっている。13個の武具防具を集めるために旅をする話だな」
「たしか、13個じゃ無理! ってなって、1エピソードごとに2つ(最後だけ1つ)の武具が手に入るようにして、7エピソードにまとめたんだよね」
「そうだ。実は、それでも削っている。元々は、パーティーが8人だから、8エピソードにするつもりだった……が、アイデア不足と中だるみが起きそうだったから、1つ削って7つにした。削った分のキャラクターを断罪武具編の間ずっと仲間になるようにしたことで、キャラクター同士の会話も盛り上がって、結果としては良かったと思う」
「こういうのを作るとき、作ると良い数って決まってるの?」
「特に決まっていないが、3、4、5、7、10、なんて数は使いやすいようだ。だが、まぁ、あまり定形にとらわれず、自分の作りたいものに合わせて考えていくのがいいだろう。いくつか、作るときに気をつけたい事も挙げておこうか」

1:沈んでしまうキャラクターが出ないように気をつける
 複数のキャラクターがいると、どうしても目立つキャラ・目立たないキャラが出てしまいます。ある程度は仕方ありませんが、いわゆる『空気キャラ』になってしまうことは避けましょう。『空気キャラ』になってしまう場合、なにか変えられる点はないか? と考えるのと同時に、本当にこのキャラは必要なのか? 数を変えるべきではないか? というところまで考える必要があるでしょう。
 数が多いと大変そうだ、というのは感覚的にわかると思いますが、実は『3人』という数も難しいので気をつけましょう(3人のヒロイン、など)。3人いると、ほぼ確実に一人の影が薄くなります。これは、私も『To Realize!』を作るときに非常に気をつかいました。

2:各キャラクター同士の差別化を徹底する
 前の回で、キャラクター同士の差別化をする、という話を書きましたが、このように個数が決まっている中でキャラクターを作る場合、いつも以上に徹底して差別化を考えなければいけません。なぜなら、これらのキャラクターは何がしかの特徴を既に共有していることが普通だからです。たとえば、『7つの精霊の武器の使い手によるバトルロワイヤル』という設定なら、7人のキャラクターは全員『精霊の武器の使い手』になります。差別化には、容姿や名前、性格、性別はもちろん、とくに能力による差別化は重要となるでしょう(能力バトルものなら、これが差別化できていないとアウトです)。また、立場による差別化も重要と考えられます。たとえば先ほどの例で言うと、村人、傭兵、国王、といった立場に加え、『バトルロワイヤルに賛成か反対か?』という立場は重要です。それが違うだけで、戦いに参加するキャラクターの態度が真逆になります。
 また、差別化ができていない場合、いわゆる『空気キャラ』となってしまうことも少なくありません。

3:中だるみしないよう、全体を貫く軸となるストーリーも考えておく
 これは、作品のコンセプト・ストーリーとも関わりますので、一概には言えません。しかし、軸となるストーリーを作り、キャラクターのエピソードが進むごとに軸となるストーリーも進んでいく、という形にすることが多いように感じます。

例)『7つの精霊の武器の使い手によるバトルロワイヤル』
 軸となるストーリー:8番目の『闇の精霊の武具』が存在し、それが復活しようとしている。バトルロワイヤルを勝ち残り、最も強かった一人が『闇の精霊の武具』を封じる役目になる。
 ⇒主人公は武具の使い手の一人。残り6人とは好きな順番で戦える。
 ⇒キャラクターを倒すごとに、『隠されていた謎が明らかになっていく』『新たな勢力として闇の精霊が出現していく』『4人倒した時点で、闇の精霊と戦う特別なイベントが発生する』といったように、徐々にストーリーが展開していく。

「単に6回同じように戦うのではなく、6回戦う間に軸となるストーリーが徐々に進行していく、という形だな。『木精リトの魔王討伐記』でも、各キャラクターのエピソードを攻略していくごとに徐々にお話が進むようにできている。オスカーの話なんかは分かりやすいだろう」
「たしかに、伏線を張るって意味でも重要な方法だね」


「なるほど〜、こういう作り方もあるんだね。……ここまで色々考えてきけど、ほかに注意することってあるかな?」
「いくつかあるかな。次回は、各論的な内容について書いてみよう」