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神鏡、水銀党、霧式の3人によるマルチ創作サイト

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ゲーム制作講座lecture


キャラクターの作り方 〜その主人公、物語に必要ですか?〜
ステップ4:キャラクター同士の関係性を考える

「ハムちゃん! ストーリーと連動してキャラクターを作って、キャラクター同士の差別化もしたら、今度は何を考えなきゃいけないかな?」
「その頃には、キャラクターも複数できていることだろう。そうしたら、次はキャラクター同士の関係性を考えよう」
「というと……恋愛関係とかライバル関係とか、親子とか兄弟とか、そんな感じのキャラクター相関図みたいなのを作る感じかな?」
「そのとおり。まぁ、必ずしも相関図を作らなくてもいいが、キャラクター同士の関係を考えると、そのキャラクターの言動、ひいては性格をより描くことが可能になる。そのため、キャラクター同士の関係性はキャラクターを作る上でぜひ考えておかねばならないだろう」

 私たちは普段、すべての人に対して同じ態度をとっているわけではありません。友人とは気軽に話しますし、年長者や先輩には敬語で話します。作品中でも同様です。友好関係にある相手には親しく振舞うでしょうし、敵対関係にある相手にはそうはしないでしょう。また、一口に敵対関係といっても、相手が『世界を滅ぼそうとする悪役』と『憎めないライバル』であれば、当然態度も変わってくると考えられます。キャラクター同士の態度=セリフ・行動を描くことで、そのキャラクターの性格や、キャラクター同士の関係性を描くことができます

「相関関係を考えるときは、単に友人関係や血縁関係を考えるだけでなく、親しいのか、目的は同じなのか、といったキャラクター同士の関わり方を描くのに重要な要素まで踏み込んで考える必要があるだろう。キャラクターが誰にどんな態度をとるかで、そのキャラクターの性格を表現することができるし、同時にそのキャラクター同士の関係を表現することができる。逆に、キャラクター同士の会話や行動を通してしか、キャラクターの関係は描けないとも言えるかもしれない」
「なるほど……その人がどんな人なのか、話してる人とどんな関係なのか――それが伝わるような会話や行動、シーンを描くためにも、キャラクター同士の関係性を考えておくことは重要なんだね」
「そういうことだ。まずは、物語に登場する定型的な関係性について考えてみよう」

●定型的な関係性
「キャラクター同士の関係性には、定型的なものがいくつかある。これは、ストーリーにおける関係性の定石とも言うべきものだから、ぜひ覚えておこう」

1)協力関係
「ストーリーにおいて、実はもっとも重要な関係性というのは協力者か敵対者か、という視点だと思う」
「協力者の場合、主人公を手助けしてくれる人だね」
「そう。パーティーに入って直接手助けしてくれる場合もあれば、なにかアイテムをくれるなど間接的な手助けをしてくれる場合もあるだろう。もちろん、主人公に対してではなく、サブキャラクター同士で協力関係にある場合もあるだろうな」
「どうして、協力者と敵対者が重要なの?」
それ抜きで話を作ることは難しいからだ。物語をドラマにするためには、対立する相手――すなわち敵対者が必要だ。また、一般的に敵対者は主人公よりも強い力を持っている(そうでないと、主人公は簡単に相手に勝ってしまいドラマにならない)。すると、主人公一人では勝つことが難しいため、手助けしてくれる人物――すなわち協力者が必要になる」
「なるほど……たしかに、日常を描くような作品でなければ、大抵敵対する相手って出てくるよね。それに、手助けしてくれる人も普通いるかな。アイテムをくれる人とか、技術を教えてくれる人とか、一緒に戦ってくれる人とか。だから重要なんだね」
「そのとおり。これは昔話などにも共通する。物語における人間関係の最も基本的な軸の一つと言えるだろう」

2)敵対関係
「協力者の逆だ」
「邪魔をしてきたり、戦ったりする相手、ってことだね」
「そう。時に、敵対者を打倒すること自体がストーリー全体の目的となる場合もある。この場合、敵対者は必ずしも悪である必要はない
「というと?」
「詳しくは別の講座(『敵と目的』の回)で書いたが、敵対する相手というのは主人公(もしくは主人公と協力関係にあるキャラクター)と目的が対立する相手のことだ。だから、必ずしも悪人である必要はない」
「ライバル冒険者パーティーみたいなものでもいいわけだね」

3)依頼者
「主人公などに何か頼み事をする立場の人だ」
「これは、わかりやすいかも。魔王退治を勇者に頼む王様とか、盗賊退治を頼む村長さんとか、薬草を採ってきてくれるよう頼む村人とか」
「そうだな。なぜ、わざわざ依頼者というひとつのカテゴリーにしたかというと、実はゲームや小説に限らず、昔話など神話・民話の類においても『主人公に頼み事をする人物』というのはよく出てくるんだ」
「主人公がなにか頼まれて行動する……ってパターン、結構多そうだもんね」
「そう。『依頼を受けて何かする』というのは、主人公の目的として比較的多いんだな。もっとも、ゲームでやりすぎると『お使いイベント』と言われてしまうこともあるが」
「でも、『クエスト』みたいな形で色々な依頼を受けるゲームも結構あるよね。主人公になにか目的を与える上で、重要な役割をしているように思える」

4)ヒロイン
「ヒロイン……男主人公なら女性、女主人公なら男性かな。昨今流行りの百合系とかBL系だと男同士、女同士ってことになるだろう」
「まぁ、恋愛関係にあるパートナーって感じかな? 結構重要そうな関係だけど、4番目なんだね」
実はヒロインはいなくてもいい。いなくても、問題なくお話は作れてしまう。重要度で言えば、協力者や敵対者よりも下になると言えるだろう」
「そーなの? ……でも、ヒロインのいないお話って、あんまり見ない気がする」
「いた方が面白かったり、受けが良かったりするからだろうな。特に、ゲームや小説(中でもライトノベル)では、出てきて当然という関係だ。だが、色々な作品を見てみると、ヒロインの立場のキャラクターが一切出てこない話というのも少なくない」
「ある程度、ターゲットにするプレイヤー層・読者層や作品のテーマによって重要度の変わる関係性なのかもね」
「そうかもしれない。ヒロインという立場は、主人公(=プレイヤー・読者)にとって特別な相手となる立場だから、そこに焦点が合いやすい。思いっきりこの関係に注目したのが恋愛小説や恋愛ゲームなのだと思う」
「恋愛ものの場合は、ヒロインが協力者・敵対者より重要になるのかも」
「その可能性はあるだろう。逆に、恋愛に主眼を置いていない作品なら、描写は程々にした方が良いのかもしれない」

5)血縁関係や役職・立場の関係
「親子とか、兄弟とかは? 関係性に含めないの?」
「含めてもいいが、あくまで二次的なものだと思う。兄弟でも、協力関係にある場合と敵対関係にある場合では真逆の関係といっていい。ただ、敵対関係であっても赤の他人同士の場合と兄弟同士の場合なら、お互いの関係性は変わるだろう。そう言う意味で、二次的なものとして意識しておくと良いと思う」

●人物相関図の活用
「基本がわかったところで、キャラクター同士の関係性を整理・理解するのに有効な『人物相関図』にも触れてみよう」

 人物相関図は、特に多数の登場人物が存在し、関係が複雑となる場合に有効です(少人数だと、あまり意味がありませんが……)。また、人物相関図はプレイヤーや読者が内容を把握しやすくなると同時に、作者にとっても人物関係の整理ができたり人物関係での不足が見えてきたりと、作品を作る際に有用です。

例)

「適当に作ったものだが、まぁ、なんとなくイメージを掴んでもらえればいいだろう。今回は例示するためにパソコンで書いたが、実際に作るときはノートなどに手書きでやったほうが簡単だし、柔軟に使うことができていいんじゃないかな」
「こういう人物相関図を作るときのポイントみたいなのって、あるのかな?」
「ゲームシナリオを書く際は、主人公を中心に据えることがひとつのコツと言えるかもしれない。ゲームは、原則として主人公=プレイヤーを視点として進行するから、主人公が中心になる相関図であることが望しい。百歩譲っても、ヒロインなど準主役のキャラクターが中心となるべきだろう。そうではなく、サブキャラクターが中心に来てしまう場合、その人物関係は見直すべきかもしれない」
「小説とかだと、そうでもないの?」
「主人公の一人称視点で書かれるものや、主人公から視点が動かない作品の場合も、同様に主人公が相関図の中心に来るのが望ましいだろう。逆に、群像劇のように様々な人物が入り乱れるような作品の場合、必ずしも誰か一人が中心にいなくても構わないと思う」
「相関図を書いて、キャラクターが足りないな、って思うようなことってある?」
「もちろん。そういう不足部分を見つけ出すのにも相関図は役に立つ。また、すでに存在するキャラクターも他のキャラクターとの関係が薄い場合、すぐにわかる。ほかのキャラクターとの関係が薄いと、登場の機会が減るなどキャラクターが浮いてしまう原因となることもあるから、そういう部分も気をつけるといいかもしれないな」

●関係性の変化
「キャラクターの関係性を考える上で覚えておかなければいけない重要な点がある。それは、『キャラクターの関係性は容易に変化しうる』ということだ」
「変化する……っていうと?」
「たとえば、敵対していた相手が後で仲間になる、とか、ただのクラスメートだった主人公とヒロインが恋人関係になる、とか」
「あぁ、たしかに、そう考えると、作品の中で関係が変化することって結構たくさんあるね」
「そうだろう。人物の関係性を考える時は『関係性の変化』に気を配らなければいけない
「たとえば、どういうところを気をつけたらいいかな?」
「さっきの話を思い出そう。キャラクター同士の関係性は、そのキャラクター同士の会話や行動に強い影響を与える。だから、関係性が変化したら、それまでとは接し方や話し方、相手に対する考え方などがガラリと変わるだろう」
「そのキャラクターの性格とか考え方も変わりそうだね」
「ありうるだろう。そう、キャラクター自身もストーリーの中で変化しうる。もっとも、あまり突拍子もない変化だったり、理由もなく変化したりしていると、一貫性がないと言われてしまうけどね」
「キャラクターの考え方が変わることで、他の人との関係性が変わることもありうるね。……でもさ、わざわざ変化させる必要ってあるの? 初めに決まってた関係のまま、最後まで行ってもいいんじゃない?」
「いいと思うが、変化したほうが面白いと俺は思う。『面白いシナリオとは』の回でも書いたが、たとえば主人公の変化というのは、それ自体がドラマでもあり面白いものだ。同じように、キャラクターの関係性の変化もドラマであり面白いものだと思う」
「たとえば?」
「ずっと気にしていたキャラクター同士が結ばれたら嬉しいし、敵対していたキャラクターが主人公の危機に助けに来てくれたらワクワクするだろう?」
「むむむ、言われてみれば確かに……お話を作るときは、キャラクターの変化やキャラクタ−の関係の変化も意識するといいんだね」
「そういうことだ。さて、次回はこれまでとは少し違う、必要性からキャラクターを作るという方法について考えてみよう」