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神鏡、水銀党、霧式の3人によるマルチ創作サイト

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ゲーム制作講座lecture


ツクールMVでのブラウザゲーム制作&デバッグ一般論・前編
 〜デスマーチへようこそ〜

「はぁ、はぁ……まだか、まだ着かないのか!」
「ハムちゃん、頑張って! あと少し! あのエラーメッセージを越えれば……!」
「ダメだ! キャラが壁にぶつかってイベントが進まない!」
「移動ルートの設定が間違ってるわ! もういっそ「すり抜け」の設定に――」
「ぐっ、足が!」
「ハムちゃん!?」
「知ってるか、フィリス! 中足骨の疲労骨折のことを『行軍骨折』というんだ! 歩きすぎたり、走りすぎたりすることで起きる骨折で、かつて行軍する兵隊に多かったことからこの名がついている!」
「だから、なに!?」
「ちなみに橈骨遠位端の骨折(遠位骨片が背側転位)をColles骨折、椎骨の水平骨折をChance骨折というんだ!」
「ハムちゃんが疲労のあまり錯乱した!」
「というわけで、これ以上のデスマーチは俺には無理だ! フィリス! あとは頼む!」
「あっ、こら! 寝るなーっ!」

 デスマーチ。死の行軍などと言われることもありますが、ようするに締め切りに追われて寝る間も惜しんで作業せざるを得ない状況です。私もつい最近やりました(この記事の執筆は2016年11月)。本当はこういう状況にならないよう早め早めに行動するのが理想なのですが、そうもいかないケースも多く、しばしばデスマーチに遭遇します。
 というわけで、今日は私の先日のデスマーチ経験から、RPGツクールMVでブラウザゲームを制作・公開する際の注意点やデバッグの一般論などについて書きたいと思います。
 とはいえ、私もまだまだ分からないことが多くあります。可能な限り気をつけてはいますが、内容に不足や誤りがありましたらお気軽にご指摘ください。また、ツクールMVでのブラウザゲーム制作に関して、「こういう内容もみんなに知ってもらいたい」「こういう注意点もある」など、本記事に追加したい内容がありましたら、こちらもお気軽にご連絡いただけると幸いです(ブログ等で記事を執筆されている方がいらっしゃいましたら、紹介させていただきますので、こちらもお気軽にご連絡ください)。

 なお、先日の『Rito Little Tales』公開の折にはツイッター等で多くの方が助言や応援メッセージをくださいました。また、公開先のOPEN GAMEの運営の皆様には、お忙しい中非常に丁寧な対応をいただきました。この場を借りて、皆様にお礼申し上げます。

「今日は、どんな話をするのかな?」
「そうだな……まずRPGツクールMVによるブラウザゲームについて一般的な話を少し。それから実際の公開に向けての準備や注意点などを話そうと思う。特定のツールの話になってしまうので、他のツールを使っている人やシナリオの勉強をしたい人には申し訳ない。後半は、一般的なデバッグについて話そうと思うので、そちらは他のツールでゲームを作っている人にも参考になると思う」

●RPGツクールMVでブラウザゲームを作るメリット・デメリット
「そもそも、ツクールでブラウザゲームっていうのが新しいよね。今までは、ダウンロードして遊ぶのが当たり前だったんだもん」
「そうだな。俺は使ったことは無いが、以前からPLiCyというサイトがあり、ここではブラウザやスマートフォンで遊べる形でゲームを公開出来たようだ」

PLiCy様
http://plicy.net/

「また、Flashゲームなど、これまでにもブラウザゲームとして遊べるフリーゲームは存在した。とはいえ、ブラウザゲームとしてフリーゲームを公開する、という流れが本格的なものになったのは、やはりRPGツクールMV(KADOKAWA, SPIKE CHUNSOFT)の影響が大きいと思う」
「新しい公開サイトさんなんかも出来てきたし、昔からある有名なダウンロードサイトさんがブラウザゲームに対応したりし始めたもんね。……そもそも、ブラウザゲームを作るメリットってなんなの?」
「そうだな、まずはブラウザゲームとしてフリーゲームを作るメリットとデメリットを考えてみよう」

・ブラウザゲームとして公開するメリット
1.複数の異なるデバイスで遊べる。
 今までダウンロードするだけだったものが、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットなど異なるデバイスで遊べるようになります。サーバセーブの機能を持つ公開サイトを利用すれば、異なるデバイス間でのセーブファイルの共有も可能になります。ツクールMVのコンセプトである“マルチビュー”もここに通じるのでしょう。

2.ダウンロードの手間が無い
 遊ぶ側からみると、ダウンロードやファイルの解凍といった手間がなくなります。ブロードバンド時代になり、かなりの容量のゲームでも短時間でダウンロードできるようになりましたが、それでも面倒くささが無いわけではありません。作り手から見ても、ダウンロードの手間があることは特に短いゲームにおいて、遊んでもらう機会自体が減ってしまう一因であったと思います。ブラウザゲームだとクリック一つで遊べるため、短いゲームでも触れてもらう機会を増やすことが出来ます。

3.ファイルの更新が確実
 ゲームを公開した後、どうしてもデバッグや改良のためにファイルの更新が必要になります。私も経験がありますが、ファイルの更新を行うと、新しくダウンロードする人は最新のものになりますが、それ以前にダウンロードした人は古いバージョンを使うことになります。その人が更新のたびに最新のものをダウンロードしてくれればよいのですが、実際にはなかなかそうもいかず、色々なバージョンのゲームが出ることになります。こうなると、特に進行不能なバグが見つかった時などは大変で、必死になって最新版への更新を周知することになります。ブラウザゲームの場合、遊ぶゲームファイルは公開サイトにアップロードされているもの一つなので、常に最新版を遊んでもらうことが出来ます。

4.ダウンロードゲームに無い、新しい手法が試せる
 これは私もまだまだ研究途上ですが、これまでのダウンロードゲームに無い新しい手法も試せるでしょう。既存のブラウザゲームの仕組みですが、たとえば一日ごとにログインボーナスがもらえる、といったものは、ブラウザゲームによくみられる手法です。これは、ダウンロードして終わり、ではなく、遊んでもらえる限り継続的に公開サイト・ゲームへのアクセスが期待できるからでしょう。長く遊んでもらうための工夫が生まれてくる、と言えるかもしれません。もっとも、このあたりの手法には賛否両論あり、全てがメリットとは言えないかもしれません。しかし、新しい事を試せる、というのはメリットと考えてよいと思われます。

5.みんなで検証できる
 ブラウザゲームは、エラーメッセージをブラウザで見ることが出来ます(人によっては、プラグインの挙動も見られてる? 私はちょっと分からないのですが……)。これは問題が起きた時、色々な人に見てもらい、検証してもらえるというメリットになります。これまで自分一人で解決するしかなかった問題に対して多くの人の協力を得やすくなる、というのは大きな安心です。また、それを通じて作者間の交流も盛んになるかもしれません。

・ブラウザゲームとして公開するデメリット
1.予期せぬ挙動をしうる
 これは先日私も経験したことですが、オフラインでのテストで動作していても、いざブラウザゲームとしてアップロードすると上手く動かない、というケースがあります。それはブラウザで動かすことで初めて生じる問題だったり、ゲームをアップロードするサーバの制約だったりします。これらの問題はアップロードする段階、もしくはその直前になるまで分からないことも多く、特にコンテスト等で締め切りがある場合、致命的になる恐れもあります。
 本講座では、あとで可能な限りアップロードされた環境に近い状況でテストする方法をご紹介しますが、それでも100%再現できるわけではなく(たとえば、アップロードして初めて機能を発揮するプラグインなどもある)、どうしてもある程度不安を抱えながらの公開となります。

「余談だが、公開前のストレスというのはすさまじい。バグが出たらどうしよう、動かなかったらどうしよう、というプレッシャーは、ゲームを公開する作者誰もが経験することだろう」
「たしかに……自分の所で完全にテストできるならまだ安心だけど、いざ公開してみないと分からないとなると、不安が残るよね」
「俺は胃に穴が開くと思った。マジで」

2.ゲームの処理能力がどうしてもダウンロードするものに比べて劣る
 ゲームの処理能力が、どうしてもダウンロードしたものに比べて遅くなります。また、ファイルなども(キャッシュに保存されていなければ)そのつどダウンロードして読み込まないといけないので、マップの切り替え時などで読み込みのタイムラグが生じてしまいます。また、重い処理の時に画面がカクカクしたり、音楽の読み込みに時間がかかって再生されるまで間が空いたりとオフラインで動かした時には無い問題が生じます。RPGならまだしも、アクションゲームなど処理能力が要求されるゲームでは、これらの問題が厄介になります。

3.公開の場に制約がある
 今後どうなるかは分かりませんが、今のところ、やはりまだダウンロード式のゲームが主流であり、公開サイトやゲーム紹介サイトもダウンロードゲームに主眼が置かれています。自分のサイトで遊んでもらえるようにする、というのも一つの手段ですが、宣伝の方法に限界があり(一般的なゲーム紹介サイトは、ダウンロードゲームを想定していることが多い)、なかなか目に触れる機会を増やすのが難しい面はあるでしょう。
 もっとも、最近はブラウザゲーム専門の公開サイトなども登場し、だいぶ公開の場は増えてきた印象はあります。また、ツイッター等のソーシャルメディアを活用した宣伝も一般的になってきているでしょう。

4.セーブファイルが使えなくなるような更新は出来ない
 これは、先ほどのメリット3の裏返しと言えるでしょう。ダウンロード式のゲームでも同様ではあるのですが、セーブファイルが使えなくなるような更新は出来ません。たとえば、プラグインの中には導入するとそれまでのセーブデータが使えなくなるものもあります。ダウンロード式のゲームの場合、『アップデートせず前のバージョンを使い続ける』ことでセーブデータが使えなくなっても遊び続けることが出来ましたが、ブラウザゲームの場合は常に最新の物になるため、セーブファイルが使えなくなる更新をすると遊ぶ人全員が影響を受けることになります。

5.環境によって遊べない人もいる(2017/1/10追記)
 ブラウザゲームは、どうしてもインターネットの接続状況・通信環境の影響を受けます。高速の回線を使用していれば比較的快適に動作してくれますが、通信速度が遅い場合や不安定な場合では、動作がかくついたり、頻繁に読み込み時間が入るようになってしまい、遊びにくくなります。
 プレイヤーさんの環境によるものなので解決は難しいですが、ゲームファイルの画像や音楽を軽量化する(ファイル容量を小さくする)、ダウンロード版も合わせて公開する、といった対応が考えられます。

「俺が使ってみて、便利だったので紹介しておこう。『PNGoo』というソフトだ」

『画像のファイルサイズを最大70%減らせて複数ファイルも一括処理も可能なフリーソフト「PNGoo」』(GIGAZINE 様の記事)
http://gigazine.net/news/20141118-pngoo/

「うたい文句通り、画像をほとんど変えずに容量を削減できる。どうやら256色にしているようで、フルカラーの画像を圧縮した時に特に威力を発揮する。透明色や不透明度もそのままにしてくれるぞ」
「使い方も簡単だね!」
「欠点は、圧縮後の画像を画像編集ソフトで編集しづらくなる点かな(上手く読み込んでくれなくなる)。使う時はオリジナルの画像を残しておくと良いだろう」
「画像ファイルが軽くなれば、それだけ快適に動くようになるし、アップロードできる容量に制限があるような場合も対応できそうだね」
「できたら音楽や効果音も軽量化できるといいのだが、これは俺も詳しくなくて分からない。もし詳しい人がいたら、教えてほしい」


「うぅん、こうして考えてみると、メリット・デメリットどっちもあるんだね」
「俺が気づいていないだけで、きっと他にも色々とメリット・デメリットはあるだろう。とりあえず、俺が今思いつくのはこんなところかな(もし、こういうメリット・デメリットもある、と載せたい事がある方は教えてください)」
「ハムちゃんは、どうするの? あくまで個人的に、だけど」
「俺はブラウザゲームでの公開にシフトしていくかな。せっかくツクールMVで出来るようになった機能だから活用したいと思っているし、ブラウザゲームでの公開という新しい形に挑戦するのは、クリエイターとして面白いことだと思っている。まぁ、新しいがゆえに色々な問題が出てくるとは思うが、そのあたりも含めて“挑戦”という面白さじゃないかな。
 とはいえ、ダウンロード形式のゲームを否定するつもりは無いよ。それぞれのメリット・デメリットを考えて、それぞれの作者が自分の良いと思う選択をすればいいと思う」
「たしかに、選択肢が増えるのはいいことだよね」
「そういうことだ。遊ぶ人にゲームを楽しんでもらうのはもちろんだが、作者自身もゲーム作りを楽しまないとな」

●ブラウザゲームの公開方法(RPGツクールMV)(2016/11/25追記)
1.デプロイメント
「ツクールMVで制作したゲームを、実際に配布する形式にすることを『デプロイメント』という。このあたりの事は公式が詳しいので、初心者で分からないという人は一度見てみよう」

RPGツクールMV 初心者講座
https://tkool.jp/mv/guide/index.html

デプロイメントに関しては、『ゲームを完成させる』の項に詳しい。

「ブラウザゲームにする時は、どうすればいいのかな?」
「『デプロイメント』を開き、プラットフォームで『ウェブブラウザ』を選択する。オプションの『未使用ファイルを含まない』については後述しよう」
「えーっと、ウェブブラウザを選択して出力場所を決めて……OKをぽちっと!」
「これで、配布用のファイルが作成される。あとは、出力されたファイルをFFFTPなどでアップロードしたり、圧縮して公開サイトにアップロードしたりすれば公開できる」

2.未使用ファイル削除ツールへの対応
「ちょっとわき道にそれるが、未使用ファイル削除ツール(オプションの『未使用ファイルを含まない』)についても触れてみよう」
「ツクールMVのバージョンアップで追加された機能だね!」
「そうだな。ツクールMVになってRTPが廃止され、全ての素材をゲームフォルダ内に含めるようになったことで、どうしてもゲームの容量が大きくなるようになった。少しでも容量を軽くするために追加されたのが、この未使用ファイル削除ツールの機能だ」

 ゲームの新規制作を選ぶと、自動的に初期設定の素材がゲームフォルダにコピーされます。これだけでも容量は約380 MB。自分でDLしたり制作したりした音楽や画像ファイルをインポートすれば、容量はさらに大きくなります。
 しかし、これらの素材は、その全てを使っているわけではありません。使っていないにもかかわらずゲームに含まれているファイルが多いと、不必要にゲームの容量が大きくなってしまいます。もちろん、手動で使っていないファイルを消すことも出来ますが、誤って使っているファイルまで消してしまうとエラーを生じてしまうため、ファイルの削除は非常に気を使います。未使用ファイル削除ツール(オプションの『未使用ファイルを含まない』)はこの作業を補助してくれるツールとして、非常に有用です。反面、使用上の注意もいくつかあるため、それについて触れてみましょう。

「どんな機能なのかな?」
「詳しい原理は俺も分からないが、エディターで指定された素材(データベースやマップ・イベント)とプラグインで指定された素材を自動で選び出す機能のようだ。だから、厳密には『使っていない素材を消す』というより『使っている素材だけ取り出す』と言った方が正確かもしれない」
「使う時の注意って、どんなことがあるのかな?」
「まず、プラグインを使用していない場合は問題なく使用できる。つまり、データベースやマップで使用している素材については、必要な物は全て選び出してくれる」
「ふむふむ……ということは、プラグインを使ってると問題が起きうる、ってこと?」
「そう。プラグインの中には、プラグイン内で直接画像や音楽のファイルを指定して呼び出しているものがある(たとえば、Systemフォルダの○○.pngというファイルを読み込む……というように)。また、プラグインの機能として、データベースのメモ欄やプラグインコマンド等から直接画像を呼び出したり、アニメーションを指定したりすることもある。こういった、追加されたプラグインの機能によって呼び出されるファイルは未使用ファイル削除ツールで対応できず、不要なファイルと判断されて削除されてしまう
「使っていても、使ってないって判断されて消されちゃうんだね……さっき見た、ツクールMVの初心者講座に関係ありそうなことが書いてあったけど、これは?」

RPGツクールMV 初心者講座 『配布用ファイルを作成する』の項
https://tkool.jp/mv/guide/009_001.html#04

「『未使用ファイルを削除する際の注意点(重要)』という部分だな。これは、プラグインが未使用ファイル削除ツールに対応していないケースもあるので注意してほしい、という内容だ」
「配布されてるプラグインが、未使用ファイル削除ツールに対応できるの?」
「できる。上記サイトではガイドラインと書かれているが、ようするにプラグインに特定の内容を記述することで、指定したファイルを未使用ファイル削除ツールで削除されないようにする方法だな。詳しくは、RPGツクールMVのヘルプ、『資料集』の『未使用ファイル削除ツールプラグインへの対応』という部分に書かれている」
「この対応がされたプラグインなら、使っている画像や音楽が未使用ファイル削除ツールで削除されないようになるんだね……でも、これ、対応してないのはどうするの?」
「そうだな……改変OKとされているプラグインなら、自分でこのガイドラインに沿ってプラグインに追記すれば、きちんと対応するように出来るだろう。……だが、正直に言って、俺も含めて素人には難しいと思う」
「たしかに、実際、どうやって記述したらいいのか……きちんと動くかも不安だし」
「そこで、もう少し簡単で確実な方法を紹介しよう」



「概略は上の図の通り」
「つまり……必要だけど消されちゃうファイルをあらかじめ選んでコピーしておいて、デプロイメントした後のゲームフォルダにコピー&ペーストする、ってこと?」
「そう。ようするに、必要な物が消えてしまって困るのだから、消えて困るファイルを選んでおいて後からコピーしよう、という発想だ。まず、必要なファイルをあらかじめ手動で選んで一つのフォルダにまとめておく。あとは、デプロイメントした後のゲームフォルダ(未使用ファイル削除ツールによって必要なファイルも消されてしまっている)に保存しておいたフォルダの中身を丸ごとコピーすればいい」
「そんな方法でいいの?」
「問題なく動く。これは、特にsystemフォルダとかpicturesフォルダとか、元々ファイル数の多くないフォルダに有効だ。また、デプロイメントした後のゲームファイルを実際にテストプレイして、ファイルが見つからなくて止まるごとに必要な物を選び出してもいい。実際、『Rito Little Tales』では以下のようなフォルダを作った」



「これが、必要だけど消されてしまうファイルをまとめたものだ」
「フォルダ単位でまとまってるんだね」
「Moghunter様(Atelier RGSS)のプラグインは実によくできていて、必要なファイルを独自のフォルダにまとめるように作られている。こうなっていると、フォルダをまとめてコピーすればいいからありがたい」
「picturesとかtitles2みたいに、元々あるフォルダもあるね」
「使っているけど削除されてしまうファイルが含まれているからな。こういうフォルダは、未使用ファイル削除ツールで削除されないファイルも含めて、コピーしてしまっている。重複したファイルがあっても上書きすればいいだけだからな(その代わり、未使用のファイルを手動で削除する必要がある)」
「いちいち、フォルダにまとめて保存しておくのがいいの?」
「いい。このフォルダをまとめてコピーしてきちんと動作することを確認すれば、フォルダの中身に不足が無いことを確認できる。そうすれば、デプロイメントの度に一々選び出す必要がなくなって楽だし、コピーミスを防ぐことも出来る」
「そっか。保存してあるファイルを全部まとめてコピーするだけだもんね……こういう作業の工夫も、バグを減らすのに有効なんだね。ちなみに、未使用ファイル削除ツールは役に立ったの?」
「もちろん。BGMやSE、animationsやbattlebacksといったファイル数の多いフォルダ、人の目で使用・不使用の判別がつきにくいフォルダに対しては、未使用ファイル削除ツールが非常に有効だった」

3.RPGアツマールへの投稿(Ver.1.3.4以降、2016/11/25追記)
「RPGツクールMVのVer.1.3.4へのバージョンアップによって、新しく追加された機能だ」
「デプロイメントの下に追加されたコマンドだね。どんな機能なのかな?」
「デプロイメントとアップロードを同時に行うもののようだな。手順については、ツクールMVのヘルプの資料集>『RPGアツマール投稿機能』に詳しくあるので、そちらを参照してもらえばいいだろう」
「事前にニコニコのアカウントを作っておく必要はあるみたいだけど、簡単にアップロードできると助かるね。……でもこれ、アップロードしたら、いきなり公開されちゃうの?」
「いや。ためしにやってみたところ、そういうわけではなかった。行うのは、あくまでゲームファイルのアップロードまでで、公開するにはゲームタイトルや紹介文、紹介用の画像などを登録する必要がある。また、公開・非公開の設定、完成・制作中の設定なども行える」
「登録しても非公開にしておけば、いきなり公開されることはなさそうだね」
「そうだな。ちなみに、非公開状態でもゲーム名・アイコンをクリックするとゲームを起動できる。公開前のテストプレイを行うことも出来るだろう。ただ、デプロイメント後にすぐアップロードしてしまうため、未使用ファイル削除ツールへの対応については注意しよう」
「そっか。上で紹介した方法が使えないんだね……どうしたらいいのかな?」
「これまで通り、デプロイメントを行って自分でzipファイルに圧縮してもアップロードすることが出来る。なので、未使用ファイル削除ツールに手動で対応する人は、これまで通りの方法を使えばいいだろう」

4.公開サイトの紹介
「ブラウザゲームの公開において、最も基本的な方法と言えば自分のホームページ等で公開することだろう。後述するが、自サイトにゲームをアップロードする際には、いくつか注意点がある。が、それをクリアできているなら問題なく公開できるはずだ」
「でも、自分のホームページをもってないとか、何か問題があって公開できない人は、どうすればいいの?」
「そういう場合は、公開サイトを利用することになる。従来なら、ダウンロードサイトと呼ばれるものだ。ブラウザゲームに対応している公開サイトについて、いくつか紹介しておこう」

OPEN GAME様
http://opgame.jp/

ふりーむ!様
http://www.freem.ne.jp/

PLiCy様
http://plicy.net/

RPGアツマール様(2016/11/25追記)
http://game.nicovideo.jp/atsumaru/

「また、AndAppというサイトもあるようだが、こちらは自分で投稿する形式ではないようだな」
「ハムちゃんが知らないだけで、他にもあるかもね」
「そうだな。もし知っている人がいたら、教えてほしい」
「公開サイトを使うメリット・デメリットって、どんなのかな?」
「いくつか挙げてみようか」

公開サイトを利用するメリット
1.人の目に触れやすい

 最大のメリットはこれでしょう。自分のサイトで公開すると、どうしても自サイトに遊びに来てくれた人の目にしか止まりません。しかし、公開サイトで公開すれば、公開サイトに来た大勢の人の目に触れることになり、遊んでもらえる機会が増えると考えられます。
 また、多くの人の目に触れるということは感想等をもらえる機会が増えることにもつながり、モチベーションの向上や客観的な意見をもらえることが期待できます。

2.セーブ機能が補完される
 ツクールMVはブラウザゲームとして動作すると、セーブファイルを『ローカルストレージ』という所に作成します。通常であれば問題ないのですが、ブラウザの『キャッシュの削除』を行った際に一緒にローカルストレージのファイルが削除される場合があるらしく、予期せずセーブファイルが消えてしまう場合があるようです。これに対し、サーバセーブの機能を持つ公開サイトを利用すれば、公開サイトのサーバにセーブファイルが保存されるため、予期せずセーブファイルが消えるリスクを減らすことが出来ます(これは異なるデバイス間でセーブファイルを共有する仕組みにもなっています)。

「また、このサーバセーブの機能は『オートセーブ』のプラグインと相性がいいのではないか、と考えている」
「オートセーブって……自動的にセーブしてくれる奴だよね?」
「そう。通常のブラウザゲームとして公開すると、セーブファイルはローカルストレージに保存されるが、これは色々なゲームのセーブファイルが同じ場所に保存される。そうすると、オートセーブで自動的にセーブを行った時、他のゲームのセーブファイルを上書きしてしまう可能性がある」
「たしかに……きちんと専用のセーブファイルを作るようなプラグインならいいかもだけど、自分で作ったりすると、うっかり上書きするプラグインを作っちゃうかも……」
「それに対して、サーバセーブの機能を持った公開サイト(検証したのはOPEN GAME様のみだが……)では、サーバセーブに対応したゲームのセーブファイルはゲームごとに分けて保存されているようだ。そのため、オートセーブのプラグインを使用しても他のゲームのセーブファイルを上書きするリスクは無いと考えられる。まぁ、実際に検証したわけではないので確実ではないが、理論上はそう考えられる、ということだな」
「意外と、色々なメリットがあるのね」

3.特殊文字が使える場合がある
 後で詳しく書きますが、ゲームをアップロードする際、一部の特殊文字( ! や $ )が使用できなくなる場合があります。ツクールMVではデフォルトでキャラクターグラフィックのファイル名に ! や $ が使用されており(ドアや大型モンスターのグラフィック)、そのままアップロードしようとしても出来ない場合があります。これに対し、公開サイトの中にはこれらの特殊文字を使うことが出来、ファイル名をそのままにアップロードすることが出来るものがあります。

公開サイトを利用するデメリット
1.更新に時間がかかる
 ゲームファイルをアップロードしてから公開されるまでタイムラグがあるため、どうしてもリアルタイムの更新などはしにくくなります。とはいえ、これはダウンロード式のゲーム公開サイトでも同様なので、ブラウザゲーム公開サイトに限った話ではありません。ただし、ブラウザで動かした際の挙動について気軽に試すことが出来ないのは、デメリットと言えるでしょう。

「『RPGアツマール』はアップロード後すぐにゲームのテストプレイや公開を行うことが出来る。これは、このサイト様の大きなメリットと言えるだろう」(2016/11/25追記)

2.評価やプレイ回数が気になる
 これは公開サイトを利用する宿命でもあり、メリットと表裏をなすデメリットではありますが……これらの公開サイトでは評価がついたり、プレイ回数で順位がついたりします。いい結果であればモチベーションの向上につながりますが、低評価がつく、あるいは評価自体つかないといったことが続くと、逆にモチベーションが下がる原因になることもあります。プレイ回数順で並べられると、プレイ回数が少ない場合に目に留まる機会が少なくなり、公開サイトを利用するメリットが薄れる……ということも考えられます。こういうことが嫌な人は注意した方が良いでしょう。

「最近、時々思うんだ。評価とかプレイ回数とか気にせず、自分のサイトでゲームを公開して、面白いと思ってくれる人だけに遊んでもらえばいいんじゃないか、と……」
「遠い目をして自己否定しないで! 怖いからっ!」
*フィリス注)ハムちゃんは、某ゲーム紹介サイトで荒らしコメントが多発した影響で、やさぐれています。

3.利用規約に注意がいる(2016/11/25追記)
 公開サイトでは、利用に際して規約が定められています。多くは公序良俗に反する作品の投稿禁止や著作権侵害の禁止など、一般的と言える内容であるため問題になることは少ないでしょう。しかし、投稿した作品の二次利用や商業化の規定、制作者の著作権の制限などゲームの公開に深くかかわる諸権利についての規約がある場合もあります。これらについては十分注意しましょう。

「利用規約には色々な事が書かれているし、難しい内容もある。だが、制作者としてゲームを公開する以上、面倒でも一度は目を通しておくべきだろう」


「といわけで、ブラウザゲームについての一般論と公開方法についてまとめた。ここからは、実際にブラウザでテストする方法について書いてみよう。と言いたいところだが……」
「ここまでで、けっこうな分量になったね……(汗)」
「あぁ。ちょっと書いていて予想外だった。というわけで、前後編に分けよう。続きは後編で! まぁ、前後編同時公開だけどな」
「コーヒーでも淹れて、休憩してから続きを読んでね!」


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