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神鏡、水銀党、霧式の3人によるマルチ創作サイト

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ゲーム制作講座lecture


著作権あれこれ 〜知ってるか? 君は自分の死後50年残る財産を作っている〜

「ハムちゃん、ハムちゃ〜ん! ちょさくけん ってなに? 最近よく聞くけど、流行ってるの?」
「…………本気で言ってる?」
「うわっ、なにそのマジ返し! やだなぁ、ハムちゃん、これは講座のための前振りじゃん。ちゃんと知ってるよ」
「ほう、じゃあ説明してみ?」
「え? ほら、あれよ、漢字に直すと『超殺苦剣』みたいな? 攻撃力は200ぐらいあるけど、装備すると呪われるのよ。ね?」
「喝っ! お前はどこのヤンキーだ! ゲームを作ろうと言うのに著作権のなんたるかを知らないとは何事か! 創作活動する人間は必ず関わる法律だぞ」
「やぁね、ハムちゃん。私は神様よ? 神様っていうのは何でも決められるの。つまり私が法律」
「んなわけあるかっ! もう一回、喝っ!」
「うわーんっ!」

 著作権は、ゲームだけでなくイラストや音楽、小説(文章)などあらゆる創作活動と切っても切り離せない存在です。自分の権利保護の点でもそうですが、特にゲームの場合は他の人のイラストや音楽を素材として利用することが多くあります。他の人が作った素材を利用する場合、そこには必ず著作権が関わってきます。きちんと理解しておかないと、知らず知らずのうちに他の人の著作権を侵害してしまいトラブルになる……ということもあります。法律は「知らなかった」では済まないのです
 とはいえ、法律というと敷居が高く、難しいもの……と思ってしまうものです。そこで今回はゲーム制作に関係のある部分を中心に、著作権について簡単な解説をしてみましょう。より詳しく知りたい方は専門の書籍や下記の『CRIC公益社団法人著作権情報センター』『文化庁 著作権制度の解説資料』のホームページなどを参考にしてください。
 なお、内容には十分気をつけておりますが、もし誤りがありましたらご指摘ください。

「ええ!? 私もゲーム作ってたら、著作権でトラブルになったりするかな?」
「長くやっていれば、一度や二度はあるよ。俺も著作権侵害されて喧嘩したことあるし、知り合いの人には素材の使用時に利用許諾に違反して、著作権侵害をしたと名指しでホームページにさらされたことで掲示板が炎上、そのまま閉鎖、って人もいた」
「こ、こわ〜……ど、どうすればいいのかな!?」
正しい知識を身につけることだ。そうすれば、他の人の著作物を利用する時も、著作物を利用してもらう時もきちんと対応する事が出来る。今回は、少しばかりだがその手伝いをしよう」

●参考書籍・ホームページ
・『著作権法ハンドブック』
 編著:文化庁文化部著作権課内 著作権法令研究会 発行:社団法人著作権情報センター
・『「どこまでOK?」迷ったときのネット著作権ハンドブック』
 著:中村俊介 監修:植村元雄 発行:株式会社翔泳社
・『CRIC 公益社団法人著作権情報センター』ホームページ
 http://www.cric.or.jp/index.html
・文化庁ホームぺージ 『政策について 著作権』
 http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/

●目次(興味のある所から読んでもらっても構いませんが、一応最初から読むことを想定しています)
1)著作権の基本
 ・著作権法とは
 ・著作権とは
 ・著作物の定義
 ・「著作者」と「著作権者」
 ・「ゲームソフト」の著作権
 ・「フリーウェア」の著作権
 ・「キャラクター」の著作権
 ・翻案:「RPGツクール」シリーズにおけるキャラクターの著作権
2)コーヒーブレイク
3)著作物の利用
 ・著作物を利用する
 ・「著作物の利用」と「著作権の制限」
 ・盗作、海賊版、違法アップロード
 ・パクリと著作権侵害の違い
 ・二次創作
 ・もしも著作権侵害に遭ったら、してしまったら

●著作権の基本
 ・ 著作権法とは
 著作物を作った人、すなわち「著作者」に一定の権利を認め、その利益を保護する事によって、文化の発展に寄与する事を目的とした法律です。
 たとえば、メーカーが製作した商用ゲームが無料でインターネットからダウンロードできてしまったら、誰もそのゲームを買わなくなってしまいます。当然、そんな状態を放置していたらメーカーの利益が損なわれますし、そこで働く人の生活を苦しめてしまいます。利益が上がらなければ、次の作品を作ることもできません。そして、究極的には誰もゲームを作らなくなってしまうでしょう。
 利益の面だけではありません。個人・法人に関わらず、ゲーム・音楽・映画などあらゆる創作物を作る事は大変な労力を伴い、大きな熱意が必要なものです(今、この記事を読んでいるあなたも大変な努力をして作品を作っているのではないでしょうか?)。もし、その一生懸命作った作品を別の誰かに当たり前のように利用されてしまったら、創作意欲を失ってしまうでしょう。
 それを防止し、著作者を守ることによって創作活動を発展させようという法律が著作権法です。

 ・ 著作権とは
 著作権とは「著作物」を「独占的に使える」権利です。知的財産権の一種であり、憲法で保障される財産権の一部です。
 産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)は登録しなければ権利が発生しませんが、著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生します著作権は著作者の死後50年まで保護されます
 一口に著作権といっても、複製権、公衆送信権、翻案権などいくつもの権利(支分権)から成り立ちます(つまり、著作権とは複数の権利の集合体といえます)。個々の権利について理解しておくのがもちろん望ましいかとは思いますが、始めのうちは著作物を制作すると「著作権」として、著作物に関する諸権利(その著作物を利用したり、複製したり、広く一般に公開したり……etc.)がまとめて与えられるのだ、と理解しておけば十分だと思います。著作権は譲渡したり相続したりして、他人に譲ることが出来ます
 また、類似のものに「著作者人格権」(公表権・氏名表示権・同一性保持権)が存在します。これは著作者の人格的利益を保護するためのもので、著作者だけが持っている権利です(譲渡したり相続したりできません)。著作者人格権は著作権と同時に発生します

 ・ 著作物の定義
 著作権法で保護される「著作物」とはどのようなものでしょうか?
 『思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。』(著作権法二条一項)と法律上は定義されています。

 重要なのは、次の4つです。
 1) 「思想又は感情」の表現であること。
 単なるデータや事実を記した物は著作物となりません。

 2) 「創作的に」表現されたものであること。
 「創作的に」表現されたものとは、作者の思想や感情、考え、アイデアが入ったものと言えます。先人の作品や事実、社会生活の中で学んだ知識などを参考にしていても、それを著作者自身が吸収し、各自の思想・感情の表現として創作していれば、「創作的に」表現されたものと認められます(私たちは多くの場合、全くの「無」から作品を作るわけではないからです)。結果的に類似した作品であっても、その創作過程に模倣行為が無く、各人の創作によって表現されたものであれば別の著作物として認められます
 「創作的に」表現されたものと認められない例には、機械的に複製・模倣した物があります。たとえば他人のイラストを書き写した物、絵画を写真で平面的に写しただけの物、他人の文章を書き写した物(固有名詞など一部を機械的に置き換えた物も含む)などです。

 3) 「表現したもの」であること。
 著作権は「表現」を保護するものであり、「アイデア」(実際に表現されていないもの)には発生しません。「表現」とは、たとえば、目で見る事が出来る、耳で聞く事が出来る、手で触れる事が出来る、というように直接感じ取ることが出来るものを指します。
 文章(世界設定やアイデアを実際に書いたもの)や画像、プログラム、音楽には発生し、またゲームで言えばマップデータやアイテム・魔法データにも生じる可能性があります(ただし、名称それ自体は著作物とは言えないと思われます:後述のキャラクターの著作権においても名称それ自体は著作物とされないため)。ゲームのルールそのものはアイデアとみなされ、著作物とはみなされません(ゲームのルールを書いた説明書は目で見る事が出来るため著作物となりますが、ルールそれ自体は目に見えません)。

 4) 「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」であること。
 工業製品は含まれません(これらのデザインは、意匠登録など産業財産権で保護されます)。

 商用・非商用、営利目的・非営利目的、上手い・下手、などは一切関係ありません。この定義に当てはまるものであれば、すべて著作物と認められます。

 ・「著作者」と「著作権者」
 その著作物を制作した人を『著作者』その著作物の著作権を有している人を『著作権者』と呼びます。通常、著作者と著作権者は同一ですが、著作者が別の人に著作権を譲渡している場合、譲渡された人が著作権者となります。
 著作者は変わることがありませんが、著作権者は変わることがあります。
 なお、先にも述べた通り「著作者人格権」は譲渡できないため、著作者が持ち続けることになります。

・「ゲームソフト」の著作権
 では、ゲームは著作権法においてどのように扱われるのでしょうか?
 私も調べましたが、実は「ゲーム」というカテゴリーは著作権法には存在せず、おおむね「映画の著作権」として扱われるようです(「パックマン事件」という事例があります)。また、「ときメモ事件」という事例から、「プログラムの著作権」として扱われる場合もあるようです。
 しかし、実際に規定する項目は無く、判例に基づいて判断しているようで、人によって解釈が分かれる場合もあるようです。

「むむむ、ゲームソフトの著作権って、意外とあいまいなんだね」
「俺も調べていて驚いた。ゲームソフトは『画像(美術)』『音楽』『プログラム』の3つから成り立つものだと考えられる。これらはそれぞれ『著作物』であり、著作権法で保護される対象となる。ゲームはその『著作物』を結合したものであり、それが創作的に表現された物であるなら『映画』に類するものとして一つの『著作物』と認められる……と理解しておけば大丈夫だと思う(もし間違っていたら教えてください)」
「たしかに、『映画』は画像とか音楽を結合したもの、と言えるかも」
「そう。それもただ結合したものでなく、創作的に表現するために、意図的に画像や音楽を配置するわけだな。ゲームなら、プログラムもそうだ。プログラムによって意図的に画面に特定の画像を表示したり、音楽を流したりしていると考えられるわけだ」
「私たちがゲームを作る時は、どういう風にしたらいいんだろう?」
「基本的には『ゲームそのものの著作権はそれを制作した制作者』、『ゲーム内で使用されている素材の著作権は、それぞれの素材の著作権者』が著作権を有している、と考えて差支えないだろう」

・「フリーウェア」の著作権
「『フリーウェア』とか『シェアウェア』とかで、著作権が変わっちゃったりしない?」
「しない。シェアウェアの場合は著作権を放棄していない事が明確だが、フリーウェアだと少し迷うかもしれない。が、フリーウェアにも著作権は存在する。フリーウェアというのは『無料で利用できるソフト』という意味であり、著作権を放棄しているわけではないからだ。著作権を放棄している、あるいは主張しない場合は、必ずその旨が書かれている
「そういうのもあるんだ」
「ある。ただ、『著作権フリー』と書かれていても、自由に報告なく利用してよいと言う意味で実際には著作権が放棄されていない場合もある。また、有料の素材で『著作権フリー』と書かれている場合、素材を正規に購入し代金を払った人間だけが自由に使える、という意味の場合もある。利用する時は注意しよう」
「自分で公開する時はどうすればいいかな?」
「心配なら、『著作権は放棄されていない、一切の著作物の著作権はその著作権者が有する』という旨の文章を書けばよいだろう。俺も書いている」

 ・「キャラクター」の著作権
 キャラクターにも著作権が存在する、とされています。日本の事例で言えば「サザエさん事件」という物があるようです。この点については、CRICで説明されていますので引用させていただきます。
『マンガのキャラクターの利用についてはじめて著作権の侵害を認めた「サザエさん事件」(東京地裁昭和51年5月26日判決)では、マンガ「サザエさん」の特定のコマに表現された登場人物の特定の容貌、姿態などの利用に当たらなくても、連載マンガの中で恒久的にそれぞれの登場人物に与えられた容貌、姿態などに照らして、当該登場人物と認められれば、著作権侵害にあたると判断しています。』(CRICホームページ コピライトQ&A)。
 これはマンガについて述べられています。マンガはイラストの部分が「美術」の著作物、ストーリーやセリフが「言語」(文章)の著作物と考えられています。そのため、この場合イラスト部分の「美術」の著作権の侵害に当たる、と考えられるようです。

「マンガやアニメのキャラクターを絵に描くと、原則的にはキャラクターの著作権を侵害している、と判断されると考えていいだろう」
「『当該登場人物と認められれば』ってことは、その絵を見て『○○っていうマンガの××っていうキャラクターだな』って分かれば、ってことだね」
「そう。ただし、キャラクターの名前そのものは著作物とは認められないそうだ(題号、つまりタイトルは『思想または感情の創作的表現』という条件をみたさないとされます。キャラクターの名前も同様です)。
 しかし、商標登録され商標権が存在している場合、名前を利用すると商標権の侵害となる。また、商標権が及ばない場合であっても、それがすでに広く知られた名称等と同じだったり類似したりしている場合(混同を起こさせる場合)は不正競争防止法によって差し止めや損害賠償の対象となる場合もあるようだ」
「どうして、不正競争防止法なんだろう?」
「すでに有名になっている名前に“ただ乗り”して、不正に利益をあげているからだ。名前を広く知ってもらうというのは大変な手間と時間がかかる。手前味噌で申し訳ないが、うちの『Lemon slice』も何年も続けて、ゲームもいくつか出しているから、『あぁ、UPRISINGってゲーム出してる所ね』とみんなに認知してもらえる。それを他の人が勝手に利用するのは、やっぱりズルなんだな」
「商標権侵害にも、注意した方がいいよね?」
「そうだな。(有名な)ゲームやアニメのタイトル等は商標登録されていると思ってまず間違いないだろう。商標登録されている場合、名前の横にTM(トレードマーク)やR(丸の中にR)を表示する事が多い。ためしに『RPGツクール』シリーズのパッケージを見てみよう。『RPGツクール R VX』(Rは丸の中にR)のように表記されている」

・翻案:「RPGツクール」シリーズにおけるキャラクターの著作権
「ねぇ、ハムちゃん、聞いていい? さっきのキャラクターの著作権は、キャラクターのイラストとか『美術』としての著作権だよね? RPGツクールみたいに、同じ画像を皆が使ってて、そこに違う名前とか性格が設定されて『別のキャラクター』として認識されている場合は、著作権としてはどうなるの?」
「……ごめん。実はよく分からない。調べたんだけどね、きちんと説明できるだけの根拠が見つからなかった。キャラクターの著作権って言うと、前述の説明が大半で、RPGツクールのように画像だけを共用しているケースはどうなるのか、今一つ判断がつかない。分かった範囲内で説明しようと思う」
「その前に、RPGツクールの画像を使うこと自体は問題ないの?」
「それは問題ない。後の『著作物の利用』の項で詳しくやるけれども、画像の使用料がソフトの代金の中に含まれており、ソフトを購入した時点で(もしくはユーザー登録した時点かも。未確認。)制作元である潟Gンターブレインから利用許諾を得ている、と考えられる。だから、仮にソフトを購入しないで画像や音楽を利用すると著作権侵害になる」
「う〜ん、じゃあ、たとえば『RPGツクール2000』の女エルフの画像で『リディア』ってキャラクターが出てきても、ハムちゃんは著作権を主張できないって事?」
「そう判断するしかない。なぜなら先ほども述べた通り、名前は著作物ではなく、またそのキャラクターの性格や設定、作品内での役割は『アイデア』に属するものであり、著作物ではない(キャラクターの性格について書いた文章は目に見えるが、性格そのものは目に見えない)からだ。そして、RPGツクールの画像は許諾を得て利用している物で使用者が著作権を有していない。この事について、キャラクターには2種類ある、という事を挙げて説明しよう」

 キャラクターには、実は2種類存在します。
1)ファンシフル・キャラクター(Fanciful Character)
 そのキャラクターの容姿などが視覚的に表現されているもの。マンガ、アニメなど。ゲームのキャラクターも通常は画像があるため、こちらに含まれると考えられます。これは先に説明したとおり、「美術」の著作物として保護されます。

2)フィクショナル・キャラクター(Fictional Character)
 小説の登場人物など、キャラクターの容姿が視覚的に表現されず、もっぱら文章で表現されているもの。ただし最近のライトノベルなど、明確なイラストがついている小説の場合、前述のファンシフル・キャラクターに含まれる場合もあると思われます。
 これは視覚的表現を伴わないため「美術」の著作物として保護されません。

「名前は著作物にならないし、性格・設定は『アイデア』なんでしょ? そうすると、フィクショナル・キャラクターは著作権法で保護されないって事?」
それ自体は『著作物』ではない、ということだ。しかし、では保護されないか、というと、そういうわけでもないようだ。『CRIC』から引用させてもらおう」

(フィクショナル・キャラクターは美術の著作物でなく、またキャラクターの設定や作品内での役割は「アイデア」に属すると前置きしたうえで)
『したがって、過去に創作された著名な小説の主人公のキャラクターを用いて全く新しい作品を創作したとしても、オリジナルの作品の著作権が及ぶとは考えにくいことになります。ただし、オリジナル作品のストーリーなどを使用するなど翻案に当たる場合は別で、この場合には著作権(翻案権)が及びます。』(CRICホームページ コピライトQ&A)

翻案(ほんあん)権って何?」
「説明しよう。意外と大事な言葉だ」

 「翻案権」とは、著作権に含まれる権利の一つ(支分権)です。ウィキペディアですが、判例が脚注として付記されている文章でしたので、引用します。
『翻案とは、既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的な表現形式を変更して新たな著作物を創作する行為であると解されている[1]。翻案の例としては、小説を映画化やゲーム化する行為、一話完結形式の漫画の連載において同一のキャラクターを用いて新たな続編を創作する行為[2]などが挙げられる。
脚注[1]:最高裁判所 2001年(平成13年)6月28日 第一小法廷判決。
脚注[2]:最高裁判所第一小法廷判決 1997年(平成9年)7月17日 民集51巻6号2714頁。』(ウィキペディア 翻案権の項)
翻案とは、簡単に言うと、既存の著作物の表現(アイデアではない)を利用して別の著作物を作ること、と言えるだろう。翻案権とは、この翻案を行う権利の事だ。翻案を行えるのは翻案権を持つ人=著作権者と、著作権者から許諾を受けた人だけになる。先のフィクショナル・キャラクターの場合、キャラクター自体は『著作物』として認められなくても、ストーリーなどを同時に使うと翻案と判断され、翻案権(著作権)の侵害になる、と考えていいだろう」
「最初の話に戻るけど、RPGツクールの画像を使ったキャラクターは、そのキャラクターが登場する作品のストーリーとかまで利用すると翻案権が及ぶ、ってことだね」
「そのように解釈できると思う(間違っていたら、教えてください)。……とはいえ、一般的にはイラストにせよ、文章にせよ、ある作品のキャラクターであると明確に判断できる場合は、キャラクターの著作権を侵害していると慣例的にみなされる傾向があると思う」

●コーヒーブレイク
「うぅ〜、疲れたよ〜、絶対今回の講座難しすぎるって」
「すまんすまん。なるたけ平易に書こうと思っているんだが、どうしてもな……ただ、実際に勉強しようと思うともっと大変だぞ。著作権って、なにもゲームだけじゃないからさ。この講座は、実際には色々な情報が書かれている中からゲームに関係ありそうな部分だけピックアップしてるんだ」
「その手間が省けてる分、まだ楽なのかしら……ちなみに、私の著作権ってどうなってるの?」
「顔グラは俺が持ってる(俺が描いた絵だから)。キャラグラは、改変素材だからエビちゃんかな」
「うぅ〜、私一人とっても複雑なのね〜」
「そう言うなって。そのおかげで、制作者の権利が守られてるわけだし、これからやる『著作物の利用』のように、利用する時のルールも定められているから、他の人の著作物を自分の創作に利用する事も出来る。
 著作権っていうと、なんだかガチガチに決められてて、創作の邪魔をするもの……って思っている人も中にはいるようだけど、皆が公平に創作活動を行うための環境を作る、大事な法律だと俺は思うよ」
「また難しい話になってる……」
「そう渋い顔をするな。ほら、コーヒーでも飲め」

●著作物の利用
「著作権の基本について学んだら、次は実際に利用する時のことについて話してみよう」

 著作権法では、「権利の行使」として「著作物の利用の許諾」を定めています。『著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。』(著作権法 第六十三条一項)とする条項です。著作権者はこの規定に基づいて自分が著作権を有する著作物の利用を許諾する事が出来、また、他の人はこの規定に基づいて著作権者から利用の許諾を受ける事が出来ます。

「簡単に言うとどういうこと?」
著作物を利用する時は、その権利者から許可をもらう必要がある、ということだ。ただし、許諾を得なくても自由に使える場合が2つある」

1)著作権者の死後50年が経過しているなど著作権が消滅している場合、または著作権が放棄されている場合
 この場合、著作権がそもそも存在しないため、自由に利用できます。

2)定められた条件の中で利用する場合
 著作権法では一定の条件を満たしている場合、許諾を得なくても自由に利用する事が出来ると定められています(これを「著作権の制限」といいます)。この場合、定められた条件の中での利用であれば、著作権者から許諾を得ずとも著作物を利用できます。

「著作権の制限については、あとでやろう。まずは、許諾をもらって著作物を利用する場合から」

・著作物を利用する
「先ほど述べた2つの例外を除けば、原則、著作物を利用する時は著作権者から許諾を得なければならない
「私たちがゲームを作る時にはどういう風に関わるの?」
「素材を作っている人から音楽や画像などの素材を借りる場合、全て著作物の利用に当たる。著作権が存在しない場合は別として、素材を利用する時はすべからく許諾を得る必要がある。まずは、著作物の利用許諾について、いくつかの方法を見てみよう」

 他人の著作物を利用する場合、著作権者から許諾を受けなければいけません。つまり、他人の著作物を利用するには、その著作権を有している人から使用の許可をもらわなければいけないという事です。
 許可のもらい方は、著作権者と利用者が合意していればメール等でも構いません。ただし、金銭が絡む場合等は文書にした方が無難ではあるようです。
 著作権法上は特に規定が無いようですが、一般的に行われている許諾の方法が幾通りかあります。ここでは、ゲーム制作で関わる一般的な許諾の方法を2つ述べましょう。

 1)個別の許諾
 特定の相手に限って利用を認めるというものです。メールや文書で許可する旨を書いてもらえば良いでしょう。当然、許諾をもらった人以外は利用できません(複数の人に個別に許諾を与える事も可能です)。

 2)条件付き包括的許諾
 著作権者の定める条件の範囲内でなら、誰にでもその著作物の利用を認めるということです。著作権者が定める条件の中で(条件付き)、一括して(包括的)、許可を与える(許諾)という意味です。
 一般的に、利用規約などが記されているフリー素材は全てこの「条件付き包括的許諾」にあたると考えられます。例えば、作成元の名前を掲載する、使用する時は連絡する、公序良俗に反する作品には使用禁止……など、著作権者が自由に条件を定める事が出来ます。使用料を支払う場合もあるでしょう(この場合は、個別の許諾とみなせるかもしれませんが……)。
 条件から逸脱した使用を行った場合、使用許諾を得ていない利用とみなされ、著作権侵害と認められます。

使用条件は著作権者が自由に定める事ができる。人によって違う条件を定めている事は普通なので、素材を利用する時はきちんと一つずつ確認しよう
「条件を守って使うなら利用してもいいですよ(許諾する)、ってことだね」
「その通り。また、素材を作って『条件付き包括的許諾』に基づいて公開する場合は、きちんと使用条件を明示するようにしよう」
「RPGツクールとか、ソフトを使う場合は? ソフトに入っている画像とか音楽とかプログラムとかを利用してゲームを作るよね?」
「その場合、ソフトの値段に著作物の使用料が含まれており、ソフトの定める(販売元である潟Gンターブレインの定める)条件の中で利用許諾を得ている、と考えられる。『ツクール和素材』などの素材集も同様だな」

・「著作物の利用」と「著作権の制限」
「ここまで特に説明なく『著作物を利用する時は〜』と書いていたが、この『著作物の利用』がどのような行為を指すのかも理解しておこう」
「たしかに、利用するって言っても色々な利用の仕方があるよね。ゲームの素材として使う事もあるだろうし、自分のパソコンの壁紙にするだけ、ってこともあるし」
「そう。著作物の利用がどのような場合かは、『著作権の制限』を知るところから考える方が楽だろう。では、著作権が制限される場合とはどのような場合か?」

 著作権法では、著作権を制限する条項も存在します。これは一定の条件を満たして利用する場合、著作権が存在していても自由に利用できる、というものです。ただし、これが乱用されてしまうと著作権法の意味が無くなってしまうため、その条件は厳密に定められています。その条件はいくつか存在しますが、ここでは創作に特に関わるであろう「私的使用のための複製」「引用」について説明します(詳しく知りたい方は前述の『CRIC』のホームページなどを参照してください)。

1)私的使用のための複製
 著作物を、不特定多数の第三者が閲覧可能な状態にしないで複製する事を「私的使用のための複製」と言います
 著作権法では、『著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。』(著作権法 第三十条一項)とされています。
 「私的使用」とは『個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること』(著作権法 第三十条一項)と定められています。簡単に言えば、個人や家族、親しい友人の間で楽しむ範囲内という事です。この範囲なら、著作物を自由に複製することが著作権法で認められており、行っても著作権侵害にはなりません
 ただし、コピーガードキャンセラーなどを使った場合=コピーできなくしてある物を不正にコピーした場合などは私的使用の範囲内であっても著作権者の許諾が必要とされます。
 また、違法著作物であることを知りながらダウンロードする場合は「私的使用」であっても著作権の制限はされません。

「私的使用の範囲については多少解釈に幅があるようだが、原則としては『不特定多数の第三者が閲覧可能な状態』にすると、『私的使用の範囲外』とされる。逆に言うと、『特定の』相手や、『自分や対面する相手』だけが利用する場合は『私的使用』の範囲内となる。私的使用の範囲については、具体例を挙げる方が分かりやすいだろう」

私的使用の範囲内の例
・自分一人で使う、複製する
・家族や親しい友人などに渡す、見せる
・画像などを印刷して自分の部屋に張る
・自分の部屋で音楽を流す
など

私的使用の範囲外の例
インターネット上にアップロードする
・駅や学校など公共施設のポスターなどに使用する
・ビラにして街角で配る、街頭で音楽を流す
・雑誌に載せる、TVで放映する
など

「なるほど……自分とか自分の周りの親しい人だけで楽しむ分には『私的使用の範囲内』で、それを超えて不特定多数の第三者……つまり誰か分からない人が何人も見るような場合は『私的使用の範囲外』ってことだね。ゲーム制作だと、どんな状況かな?」
ゲームを公開する場合は、インターネット上へのアップロードや雑誌への掲載を伴うため、『私的使用の範囲外』となる。自分のゲーム自体の著作権は自分が持っているから特に問題は生じないと思うが、ゲーム中で使用されている素材の著作権は各素材の著作権者が有しているため、公開時には注意しよう。たとえば、使用に際して連絡するように、と定められている素材の場合、連絡せずに公開すれば利用許諾違反=著作権侵害となる」
「ゲームを公開しないで、素材をダウンロードするだけ、とか、その素材を使ってゲームを作るだけ、とか、そう言う場合は私的使用の範囲内ってことでいいのかな?」
「その通りだ。ただ、素材を作る人の中には『素材をダウンロードした時点で連絡が欲しい』としている人もいる。その場合、私的使用であっても連絡するべきだろう。そして、俺達ネット上で活動する制作者が一番気をつけなければいけない事がある。『私的使用の範囲外』の例の最初の項目だ」
『インターネット上にアップロードする』って項目?」
「そう。インターネット(電気通信回線)上にアップロードした場合、全て『私的使用の範囲外』となる(インターネット上にアップロードする行為を『公衆送信』と言う)。さっき『不特定多数の第三者が閲覧可能な状態』にすると私的使用の範囲外となる、と言ったが、より厳密に言えば『不特定多数の第三者が閲覧する可能性がある状態にする』と私的使用の範囲外になる(これを『送信可能化』と言う)」
「閲覧する可能性?」
「そう。データを一端サーバに保存して、そこに利用者が接続して閲覧する、というインターネットの仕組みから考えられたものだ。サーバに保存した時点で、(その時点ではまだ誰も見ていなくても)アクセスがあれば第三者が閲覧する可能性が生じる。そのため、サーバに保存した時点で=アップロードした時点で『私的使用の範囲外』になる
「作ったばかりのホームページで、人が全然来なくてもダメなんだ」
「その通り。仮に自分のホームページに1人も人が来ないとしても、ホームページ上にアップロードすれば私的使用の範囲外になる。もちろん、そのホームページの性質も関係ない。営利・非営利でも関係ないし、趣味の個人ホームページでも同様だ」
「ブログとかツイッターも?」
「もちろん同様だ」
「今流行りのSNSは? 友達同士とか、一部の人しか見られないと思うけど……」
「会員制などクローズドなSNSの場合、人によって多少解釈が分かれているようだ。が、ダメだと思う(少なくとも、弁護士さんのサイト等で確認したらダメとあった)。インターネット上にアップロードしている事に変わりは無いし、『絶対に親しい友人しか見ない』と保証することができないからだ」

2)引用
 研究や報道などにおいて、必要と認められる範囲で他の人の著作物を利用する事が出来ます。引用に関する著作権法の条項を「引用」してみましょう。
『公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。』(著作権法第三十二条一項)

 このように、自分の主張を補強するためなど目的上必要な場合、公表されている他の著作物を引用する事が出来ます。この時、著作権者に連絡なく、無断で行う事が出来ます。また、著作権者は引用されることに対して拒否する事は出来ません。
 「公正な慣行」「引用の目的上正当な範囲内」として、文化庁ホームページでは
『[1]主従関係:引用する側とされる側の双方は、質的量的に主従の関係であること [2]明瞭区分性:両者が明確に区分されていること [3]必然性:なぜ、それを引用しなければならないのかの必然性』(文化庁ホームページ 著作権なるほど質問箱 著作権Q&A)を挙げています。
「んん? そこのところ、詳しく教えて!」

1)主従関係とは、自分の文章が主(メイン)になっており、引用部分が従(サブ、補助)になっている必要がある、ということです。これは分量的にも、その内容的にも、自分が書いた物が主になっている必要がある、ということです。
「だから、たとえばこの講座のように著作権について説明する時に――」

『……この講座の記事を全部コピー&ペースト……』
 ……という風に、神鏡という人が書いています。みんな、著作権のこと分かったかな?

「という感じの記事を書いてしまうと、分量的にも内容的にも明らかに引用部分が主になっており、自分の文章が従になっている。これは引用とはみなされない」

2)明瞭区分性とは、どこからどこまでが引用された部分で、どこが引用された部分ではないのかがはっきり分かる、ということです。引用部分は『』(二重鉤括弧)で囲むのが一般的であり、また引用部分の後に引用元を明記する必要があります。
 なお、一つ一つの『』の後に引用元を書かず、『……』(*1)のように記載しておき、文末に
引用元
 *1 Lemon sliceホームページ
という風にまとめて書く事も可能なようです。

3)必然性とは、その引用を行うちゃんとした理由がある、ということです。全く無関係の文章を「引用する」とは言いません。引用とは、あくまで自説を補強したり、批判を行ったりするなど、「その引用部分が無いと論が成り立たない」場合に引用と認められます。

「この3つの条件に従って行えば『引用』として他の人の著作物を許諾なく利用する事が出来るわけだ。ただ、創作活動をする時に一つだけ注意。『引用』は報道、批評、研究などで行われるものであり、音楽や画像、ゲームなどの創作で他の人の著作物を利用する場合は『引用』とならないので気をつけよう(作中で自説の研究や報道を行うなら別かもしれないが……)」
「そんなことあるのかしら?」
「俺は昔、二次創作をやっている人から『これはキャラクターの引用であって著作権侵害ではない』と真顔で言われて困った事がある……これは誤解なので気をつけよう」
「……(汗」

「さて、最初の話に戻るが『著作物の利用』とは、ようするに『著作権の制限』に該当しない方法で著作物を複製したり、公開したり、翻案したりすることを指す、と考えられるわけだな」
「ゲーム制作では、実際にゲームを公開する時だね。紹介ページとかで画像やスクリーンショットを公開する時も気をつけないと」

・盗作、海賊版、違法アップロード
「やや雑多になるが、盗作や海賊版等、著作権に関わるいくつかの行為について、簡単に説明しておこう」
1)盗作
 他の人の作品を自分の作品だと偽って公開することです。たとえば、他の人が作ったゲームをダウンロードし、それをそのまま別のホームページにアップロードして「私が作ったゲームです! みんな遊んでください!」と書くのが盗作です。
 実際の例では、数年前、海外の画家が描いた絵を自分が描いた絵だと偽って公開したとして画家(有名な人だったのか?)が逮捕された事があります。
 盗作は著作権侵害とは異なり、非親告罪とされています。そのため、被害者の告訴が無くても検察官は盗作を行った人を起訴する事が出来ます。

2)海賊版
 著作権者の許諾を得ず、その著作権を無視して複製・製造される商品です。当然、非合法になります。たとえば、映画や音楽をダビングしたDVD、CDを勝手に販売するなどです。自分が制作したものだ、と主張しないため盗作ではありませんが、著作権者が受けるべき利益を不当に奪うため、大きな問題となります。

3)違法アップロード
 ソフトウェアや音楽などを著作権者の許諾を得ずにアップロードすることです。音楽などを違法配信する掲示板スタイルのサイト、ファイル共有ソフトに出回る映画などが例として挙げられます。従来、海賊版とは不正にコピーされたDVDやCDなどを指す言葉でしたが、違法アップロードされたファイルについても海賊版と呼ぶ事があるようです(CRICホームページの著作権法改正に関する記事の中で使用されています)。著作権者が受けるべき利益を不当に奪うため、大きな問題となります。

「違法アップロードされたファイルを、そうと知りながらダウンロードすることに対して罰則化が規定されたね」
「そうだな。最近の出来事だから(記事執筆は平成24年8月)、記憶に新しい人も多いだろう」

 改正法案によって、違法にアップロードされたファイル(音楽や映画など)を、違法にアップロードされたものだと知りながらダウンロードする行為は、2012年10月1日から罰則の対象となります。罰則化については賛否両論様々な意見がありますが、今回は著作権に関する講座ですので私見は述べず、できるだけ公平な立場で書きたいと思います。

「映画や音楽などの著作物を著作権者の許諾を得ずにアップロードする行為は、もともと著作権侵害であり違法な行為だ。この事は、ここまで記事を読んでくれた人なら納得できるだろう」
「問題になるのは、その違法にアップロードされたファイルをダウンロードした場合だね」
「そう。違法にアップロードされたファイルをそうと知りながらダウンロードする行為は、2010年1月の法改正によって違法行為と規定された。この時は罰則化の規定は無かったんだな」
「2010年の改正で違法になったって事は、それ以前は違法じゃなかったの?」
「そうだ。さっき説明した『私的使用』を思い出そう。ファイルをダウンロードして自分で楽しむ場合、これは『私的使用のための複製』に該当するとされて禁止されていなかったんだ。しかし、法改正によって次のようになった」

「違法にアップロードされたファイルだと知りながら」「著作権者に無断で」「著作物(音楽や映画)をダウンロードする行為」は「私的使用の範囲内であっても違法となる」

「先ほどの私的使用についての説明に、『違法著作物であることを知りながらダウンロードする場合は「私的使用」であっても著作権の制限はされません。』と書いたが、これは法改正を受けて追加された内容なんだな。昔、法改正前に勉強した時はこの規定は無かった」
「そして、今回(2012年)の法改正で、これに新しく罰則化が追加されたってことなんだね。……でも、これってちょっと怖いかも。たとえばユーチューブとかで動画を見てたら、いきなり逮捕されたりしないの?」
「罰則化に対して不安を感じる人は多いようだ。その事については、文化庁のホームページに掲載されているから、そちらを見るのがいいだろう」

文化庁ホームページ 違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/download_qa/

もしくは、
文化庁ホームページ 平成24年通常国会 著作権法改正等について
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h24_hokaisei/

「簡単に要約すると――」
A)刑事罰の規定は親告罪とされており、著作権者からの告訴が無ければ起訴されない

B)有償著作物等が対象となる
 有償著作物とは『「有償著作物等」とは,録音され,又は録画された著作物,実演,レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像であって,有償で公衆に提供され,又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいいます。』(文化庁ホームページ 平成24年通常国会 著作権法改正等について)とされています。つまり、有料で配信されている動画や音楽、DVDやCDの形で販売されている物などが有償著作物にあたります。
「じゃあ、ハムちゃんみたいにフリーウェアで出してる人のゲームは対象じゃないんだね」
「そうなるみたいね」

C)違法にアップロードされた有償著作物であると知りながら録音・録画する事が罰則の対象となる
 有償著作物だと知らなかったり、違法にアップロードされたと知らなかったりする場合は罰則の要件を満たさない、とされています。文化庁ホームページに個別具体例も載っています。
 違法でなく、刑罰の対象とならない場合
 ・試聴するだけ(録音・録画しない)
 ・「You Tube」などの動画投稿サイトの閲覧(キャッシュの作成は著作権法の規定で著作権侵害に当たらないとされています)
 ・メールにファイルが添付されている場合(違法となるのは『公衆送信』を通じたダウンロードであり、メールはその中に含まれないとされます)。
 ・画像ファイルをダウンロードしたり、テキストをコピー&ペーストしたりする(罰則の対象は音楽や映画の録音・録画が想定されているようです)

「詳しく知りたい人は、前述の文化庁ホームページなどを参照するのがよいだろう。今回、記事執筆のために色々見て回ったんだけど、勉強する時は官公庁のホームページなど中立の立場で説明してくれる所を見た方がいいと思う。この件については、個人のホームページ等は始めから『賛成』『反対』という立場から書いていて、説明にバイアスがかかっているものが多いように見えた」
「この記事は?」
「……公正になってる、と思う、よ?(そうなるように気をつけてます)」

・パクリと著作権侵害の違い
「いわゆる“パクリ”と著作権侵害の違いについて、簡単に指摘しておこう。“パクリ”の定義自体がそもそもあいまいなので、踏み込んだ議論は出来ないのだが……」
「パクリと著作権侵害って、同じじゃないの?」
厳密には違う。よく混同されているが、パクリと著作権侵害は異なるものだ。図にするとこんな感じ」



著作権侵害の方が範囲が狭いって事?」
「そう。思い出してみよう、著作権とは『表現』に対して発生するものだ。つまり、『表現』を模倣すると著作権侵害となる。だが、いわゆるパクリは『表現』に限らない。たとえば、『俺の設定パクっただろ!』って言われた場合、これはパクリであっても著作権侵害にはならない」
「どうして? ……っと、そっか、『設定』は『アイデア』であって『表現』ではないから著作物にはならないんだったね」
「そういうことだ。ただし、その設定を含めてストーリーなども類似している場合『翻案』に当たる可能性が出てくると思う。そうすると翻案権の侵害となって、これは著作権侵害となる」

・二次創作
「著作権について解説するなら、二次創作についても触れねばなるまい……」
「なんか、気乗りしなさそうね」
「俺もやってるからね……自分も他人事じゃないから、記事を書くのは胃が痛いのだ……」

 既存のマンガやアニメのキャラクター・ストーリー等を利用して、新しい著作物(マンガや動画、イラスト、ゲーム、小説など)を作成する行為を一般に『二次創作』と呼びます。二次創作は、特に同人誌などの広まりによってかなり一般的になっていると言えるでしょう。しかしながら、著作権法の観点から言うと二次創作は著作権侵害にあたります

「もちろん、著作権者の許諾を得ている場合は著作権侵害には当たらない。これは、ここまで説明してきた通りだ。問題となるのは、許諾を得ていない場合だな」
「許諾を得ないで他の人の著作物を利用するわけだから……たしかに著作権侵害になるね」
「そうだ。解釈に幅はあるようだが、おおむね『複製権』の侵害か『翻案権』の侵害に当たると判断されるようだな。場合によっては、著作者人格権の一つである『同一性保持権(著作者の意に反して著作物の内容やタイトルを変える事を禁止する権利)』を侵害すると判断される場合もあるようだ」
「じゃあ、二次創作って出来ないの?」
「そこがポイントでね……いわゆる『黙許』と呼ばれるものがある」
「『黙許』? 黙認するとか、見て見ぬふりをするって事?」
「簡単に言えばそうだ。著作権侵害をされた場合、著作権者は侵害をした相手に対して次の行動がとれる」

1)民事上の請求
 侵害行使の指し止め請求(侵害行為をやめるよう請求する)
 損害賠償の請求
 不当利得(本来著作権者が受け取るはずなのに、侵害した相手が得た利益)の返還請求
 名誉回復措置などの請求

2)罰則
 著作権者が告訴すれば、処罰してもらう事が出来ます。著作権侵害の場合、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金となります。

「ここで重要なのは、著作権侵害が親告罪である点だ。親告罪とは著作権者(被害者など)が告訴して、はじめて検察が起訴できるようになる罪だ(非親告罪は告訴が無くても起訴できる)」
「ということは、告訴されなければ処罰はされない、ってこと?」
「そう。民事上の請求も、著作権者が請求しなければ発生しない」
「ということは……仮に著作権を侵害するものがあっても、著作権者が何も言わなければ撤去したり賠償したりしなくてもいいの?」
「一応、そうなる。これが『黙許』と呼ばれる状態だ。著作権者が知らないか、知っていても見て見ぬふりをしている場合、二次創作は著作権侵害行為であっても撤去などはしなくてもよい、ということになる」
「じゃあ、二次創作はやっても大丈夫って事?」
「そう単純には言えない。『黙許』はあくまで権利を行使していないだけであって、著作権者が民事上の請求や告訴をしようと思えばできるからだ。決して、著作権法で定められた許諾を得ているわけではない。二次創作をする時は、その点に十分注意しよう」
「実際に二次創作する時は、どんな事に気をつければいいかな?」
著作権者(あるいは出版社等)から撤去依頼が来たら、速やかに応じるべきだろう。ただし、二次創作で大きな利益をあげている場合は損害賠償請求や不当利得の返還請求をされる可能性はあるんじゃないかな」
「二次創作じゃないけど、スクリーンショットとかプレイ動画は? 他の人のゲームをスクリーンショット付きで紹介したい! みたいな時は」
望ましいのは著作権者に連絡して許諾を得ることだろう。スクリーンショットやプレイ動画なら、大抵ダメとは言わないと思う(ダメって言われたら諦めてね)」
「なるほど。ちなみに、ハムちゃんが、スクリーンショットとかプレイ動画をやりたいって言われたらどうする?」
「俺は、普通に連絡してくれれば基本的には許諾するよ。よほどひどい場合は別だけど……あぁ、そうだ、実際に聞いた話なので念のため。著作権者に『黙許してください』って連絡するのは絶対にやっちゃダメね」
「どうして?」
「連絡された時点で『知らない』と言えなくなるし、連絡を受けたうえで使用許可を出せば正式な使用許諾になってしまうからだ。『黙許』とは法律に規定されていない、言ってみれば法の抜け穴を利用したもので、お互いの暗黙の了解なのだと言う事は理解しておこう」
「ちなみにハムちゃんも『黙許』してるものってある?」
「あるよ。どれって言っちゃうと後で『知りませんでした』って言い訳できないから言わないけど。ちなみに、うちのサイトは自作ゲームの登場人物などをイラストで描くのは特に連絡をくれなくても許諾している。『うちの子ご自由にお描き下さい同盟』ってのに入ってるからね」
「結構、そういう人もいるみたいだね。二次創作してもいいですよ、って許可している人」
「そう。その場合、許可を出されているから二次創作であっても著作権侵害にならない

・もしも著作権侵害に遭ったら、してしまったら
「長かった講座もこれで最後です」
「長すぎたかな……とにかく最後は、もし著作権侵害に遭ったら、してしまったら、だな」
「たとえば、どういう場合かな?」
「俺が実際に経験したものでは、ホームページ内のテキストを無断でコピー&ペーストされて小説に利用されたことがある。また、RTPの画像などではなくオリジナルの画像を掲載している場合、それを無断で利用されれば侵害行為と判断できる」
「ゲームでは、どうかな?」
「ゲーム上の設定それ自体は『アイデア』であるため、著作権侵害とするのは難しいだろう。ただ、高度な類似が認められる場合は、翻案権の侵害と判断する事も出来る。また、セリフなど文章をコピー&ペーストされていたり、画像を無断使用されている場合は著作権侵害として請求が出来るだろう。それから、むしろ気をつけなければいけないのは素材の二次利用だな」
「素材の二次利用……というと、ゲーム内の素材をそのまま抜き出して利用することだね」
「そう。多くの素材屋さんが二次利用を禁止している。この場合、二次利用する方も悪いが、させてしまうのも問題だろう。ゲーム内のテキスト等にきちんと『素材の二次利用は禁止します』と明記しておくことは必要だろうな」
「自分がされる場合だけじゃなくて、自分が間違ってしてしまわないように、気をつけないといけないね」
「その通りだ」
「こういう著作権侵害って、どうやったら発覚するの?」
「多くの場合は、侵害している作品等を見た人から連絡が来て発覚する。これは正しい対応で、著作権侵害に対して請求や告訴を行えるのは著作権者だけだ。だから、第三者が指し止め請求などは行えない
 あと、これは笑い話だけど、著作権侵害をしている作品とオリジナルの作品が検索エンジンの結果表示画面で並んで表示される事もある」
「それは、笑えるような、笑えないような……」
「インターネットの世界って実は狭いんだな、と思わされる瞬間だな。では、実際の対応を最後に簡単に挙げてみよう」

 もし著作権侵害に遭った場合、それを削除して欲しいと思ったらその旨を連絡しましょう(連絡する前に、相手のホームページの内容をコピーしておくなど、きちんと証拠を取っておきましょう)。これは民事上の請求における「侵害行使の指し止め請求」に当たります。相手が従わない場合、プロバイダーなどに連絡する事も可能です。よほど悪質な場合は裁判で訴える事も可能ですが、ここまで行くケースは少ないと思います。また、有償で販売しているソフトなどに対して著作権侵害され、金銭的な損害が出ている場合は「損害賠償の請求」や「不当利得の返還請求」を行うことも可能でしょう。
 もし、自分が著作権侵害をしてしまった場合、たとえば、二次創作をしていた、あるいは知らず知らずのうちに侵害してしまっていた場合は、相手から差し止め請求(「該当する作品を消してほしい」など)があったら速やかに従いましょう

 なお、著作権侵害において指し止め請求できるのは、侵害をしている当該作品のみです。中には無関係な作品まで削除することやホームページを閉鎖することを求められる場合もあるようですが、それは法律上認められた請求ではありませんので従う必要はありません。自分が差し止め請求する場合も、そのような要求はしないよう気をつけましょう。


「う〜ん、こうして勉強してみると、意外と著作権って厳密に決まってるんだね」
「俺も今回執筆のために勉強して、自分の誤っていた点などがわかった。やっぱり、こういうのは一度きちんと勉強してみないと分からないものだな。参考に挙げた書籍やホームページも、興味のある人はぜひ見て欲しい
「あやや、なんだか最後までかたい話になっちゃった……ねぇ、ハムちゃん、かたいまま終わると良くないから、最後にパーっとすっきりしない?」
「パーっと? 酒でも飲みに行くか?」
「やぁねぇ、ハムちゃん。すっきりって言ったら、これしかないでしょ!」
「おい! こら! 槍構えながら何言ってるん――るはあああああっ!

今日のまとめ
1)著作権法とは「著作者」に一定の権利を認め、その利益を保護する事によって、文化の発展に寄与する事を目的とした法律である。
2)「著作物」とされるものは厳密に決められている。大事な点は、著作物となるのは「実際の表現」であって「アイデア」ではない、ということ。
3)「著作者」と「著作権者」のふたつがある。通常は同一だが、著作権が譲渡されている場合、この二つは異なる人物になる。
4)他の人の著作物を利用する時は、著作権者から許諾を得なければいけない。
5)ただし、「私的使用のための複製」や「引用」など、一定の条件を満たせば許諾を得なくても著作物を利用できる。
6)詳しく知りたい人は、参考図書に挙げた本・ホームページで勉強してみましょう。